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賃貸のお困りQ&A

賃貸人が2名(持分均等)の賃貸借契約において、賃貸人1名による賃貸増額請求は有効か?

【ご相談】

「数名で共有するビルの賃貸借で賃料増額請求をしたいのですが、全員の意見が一致しないとできないのでしょうか?」

黙示の合意のある賃貸人の地位を承継した

民法は、(1)共有物の管理は各共有者の持分の価値に従いその過半数で決し(民252条)、(2)保存行為は現状維持行為で各共有者が単独で可(同条ただし書)、(3)変更(処分)は全員の同意を要する(251条)と規定しています。

昭和39年3月10日、AとBが地下1階地上5階建てのビル(本件ビル)を新築。持分は2分の1ずつでした。昭和45年12月24日、AとBを取締役とするC社が設立され、ABは本件ビルをC社に賃貸。平成15年当時の賃料は月額500万円(税込)、毎月末日限り翌月分を支払う約定でした。C社は5階と4階の一部を使用し、その余を転貸していました。

Aが平成18年に死亡し、DとEとFが本件建物のAの持分を相続。平成26年5月27日、XがDEFから本件建物持分(合計2分の1)を売買により取得しました。Xは平成27年3月31日、C社に対し本件建物の借賃増額請求調停を申し立て、その後訴訟に移行しました。Xは「賃料増減請求権の行使は共有物の保存行為に該当するから、本件建物の持分を有するXは単独でこれを行使できる」と主張し、平成27年5月1日以降の本件建物の相当賃料は月額金898万円(税別)であるとして、その確認と従来賃料との差額等の支払いを求めました。

C社は、「賃料増額請求権の行使は管理行為に該当し、持分の過半数を有しないXは行使できない」「本件賃貸借契約では消費税率が変更されても賃料と消費税額を合わせた総額は変更しない旨の合意があると抗弁しました。

東京地裁は、「借地借家法32条1項の借賃増減請求権はその行使により賃料が一方的に変更されるもので保存行為とは言えない」「管理行為であり、持分2分の1のXは単独で行使できない」「過去2回の消費税額変更時において引上げ分を請求していない」「本件契約はABと、ABが取締役を務めるC社との間の契約であり、その後Aの相続があったが賃貸人と賃借人との密接は関係が続いていたものと認められる」ことを併せ考えると「当事者間において平成26年5月27日、Xが本件持分を取得するまでの間に消費税率の変更に関わらず賃料総額を変えないという黙示の合意がなされたと見るのが相当」(32条1項ただし書)と、Xの請求を棄却しました(平成28年5月25日判決)。Xの控訴で東京高裁も「Xが持分を取得するまでの間に消費税率を変更にかかわらず賃料総額を変えないという黙示の合意が成立しており、Xはその合意のある賃貸人の地位に承継したというべきであり、合意に拘束される地位にあった」と控訴を棄却しました(東京高裁 平成28年10月19日判決 判例時報2340号)。

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