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賃貸のお困りQ&A

前入居者の死亡事故の告知範囲は?

今回のご相談

当社で居住用建物の賃貸仲介の依頼を受けたのですが、前入居者が半年ほど前にその建物内の階段で転んで頭を打ち、亡くなっていたことがわかりました。また、事故直後に発見されたことから、特別な作業を要するようなダメージは特にありませんでした。

このような不慮の事故による死亡の場合、入居希望者への告知は必要でしょうか。

回答

不慮の事故による死亡事案の場合は、原則として告知は不要です。ただし、発見の遅れなどにより、いわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等が行われた場合においては、告知が必要です。

解説

(1) 宅地建物取引業者による人の死の告知によるガイドライン

近年まで、過去に人の死が生じた物件の取引において、適切な調査や告知に係る判断基準がありませんでした。

そのため、

  1. ① 他殺、自殺等の心理的瑕疵に関して、取引現場の判断が難しいことから、そのような物件の取引を敬遠し、不動産の円滑な流通・安心できる取引の阻害要因となっている
  2. ② 心理的瑕疵に関する明確な判断基準がないことで、賃貸物件のオーナーが、所有する物件での自然死等について強い不安を有していることから、単身高齢者の入居が困難になっている

等の問題点も指摘されていました。

そこで、国土交通省は、令和2年2月より「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」において検討を進め、その後実施したパブリックコメントを踏まえ、令和3年10月8日、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(以下「本ガイドライン」といいます。)を策定しました。

(2) 「人の死」を告げなくてもよい場合とは

本ガイドラインは、不動産において過去に人の死が生じた場合に、当該不動産の取引に際して宅建事業者がとるべき対応についてとりまとめたものです。宅建事業者が宅建業法上負うべき義務の解釈について、現時点での裁判例や取引実務に照らし、一般的に妥当と考えられるものを整理しています。

宅建事業者が本ガイドラインで示した対応を行わなかったとしても、そのことだけをもって直ちに宅建業法違反とはなりません。しかし、宅建事業者の対応を巡ってトラブルとなった場合には、行政庁における監督に当たって、本ガイドラインが参考にされることとなります。

なお、本ガイドラインでは、「宅建事業者が告げなくてもよい場合」について、次のように定めています。

① 自然死/日常生活の中での不良の死(転倒事故、誤嚥など)

まず、自然死または日常生活の中での不慮の死が発生した場合については、原則として告知は不要とされています。

統計においても、自宅における死因のうち、老衰による死亡や病死が9割を占めています。また、自宅の階段からの転落、入浴中の溺死や転倒事故、食事中の誤嚥など、日常生活の中で生じた不慮の事故による死については、そのような死が生ずることは当然に予想されるものです。従ってこれらが買主・借主の判断に重要な影響を及ぼす可能性は低いと考えられることから、売買/賃貸いずれの場合も、自然死と同様に原則として、これを告げなくてもよいとされました。

ただし、自然死や日常生活の中で不慮の死が発生した場合であっても、過去に人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴い、いわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等が行われた場合においては、買主・借主が契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性があるものと考えるため、例外的な対応が必要です。

② 賃貸借取引の対象不動産、または日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分において①以外の死(他殺/自死)が発生した場合、または①の死(自然死や日常生活の中での不慮の死)において特殊清掃等が行われた場合

この場合、事案発生(特殊清掃等が行なわれた場合は発覚)から概ね3年間が経過した後は告げなくてよいとされています。ただし、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に大きい事案はこの限りではなく、告知が必要になります。

③ 賃貸借取引および売買取引の対象不動産の隣接住戸または借主もしくは買主が日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分において、①以外の死(他殺/自死)が発生した場合、または①の死が発生して特殊清掃等が行われた場合

この場合は、裁判例等も踏まえ、賃貸借取引・売買取引のいずれの場合も、原則として、これを告げなくてもよいとされています。ただし、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に大きい事案はこの限りではありません。

一方、告げる必要があるのは次のようなケースです。

宅建事業者は、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は、買主・借主に対してこれを告げる必要があるとされています。

なお、人の死の発覚から経過した期間や死因にかかわらず、買主・借主から事案の有無について問われた場合や、社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合等は、当該事案は取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられるため、宅建事業者は買主・借主に対して告げる必要があるとされています。

そして、告知する場合には、亡くなった方やその遺族等の名誉および生活の平穏に十分配慮し、これらを不当に侵害することのないようにする必要があります。そのため、氏名、年齢、住所、家族構成や具体的な死の態様、発見状況等まで告げる必要はありません。

また、宅建事業者は、トラブルの未然防止の観点から、取引に当たり買主・借主の意向を事前に十分把握し、人の死に関する事案の存在を重要視することを認識した場合には、特に慎重に対応することが望ましいといえます。

まとめ

本件は、「階段での転倒」という不慮の事故による死亡事案です。そのため、本ガイドラインによれば、原則として告知の必要はありません。もっとも、原因が同じでもいわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等が行われた場合においては、買主・借主が契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性があるものと考えるため、告知が必要となります。

皆さまが、過去に人の死が生じた物件の取引に関与する場合には、本ガイドラインが参考になりますので、必要に応じてご参照いただければ幸いです。

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