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賃貸のお困りQ&A

老父が後見審判の直前に実子に行った贈与が、意思能力を欠く状態であったとは認められないと抹消請求を棄却したケース

【ご相談】

「後見審判直前に実子に贈与した不動産について、後見人が登記抹消を請求したが、敗訴した事件を聞きました。詳しく教えてください」

意思能力を欠く状態であったと認めることができない

法律行為の意思表示をしたときに意思能力を有しなかった場合は、法律行為を無効するという法理があります(改正民法は第3条の2項を新設し意思能力を明文化)

今回の判断の基準は、贈与契約時点で老父が意思能力(事理弁識能力)を欠く能力であったか否かです。判断は周辺の諸事情が総合勘定されます。

A(昭和14年生)は昭和44年、X1(昭和10年生)と再婚(双方1度の離婚暦)。AとX1間の長女Y(昭和39年生)は父母の婚姻により嫡出子となり、さらに同年Aは、X1と前夫の子X2(昭和33年生)と養子縁組をしました。

Aは葬儀を行う会社を経営しており、Yは経営に携わりA家に同居するようになりました。AとX1、Yは協力して経営に精励。平成4年にはX2とその夫Fも同社の経営に加入。同年法人化(有限会社)しました。

代表取締役をAとし、取締役をX1、X2、Fとする構成でした。YはA家を去り、替わってX2とFがA家に同居しました。

その後、同社はX2夫婦による運営が中心となり、次第に経営が悪化しました。X2夫婦は平成22年、政府系金融機関から葬儀会社を借主は、連帯保証人をAとして400万円を借り入れ、翌年には銀行に200万円の融資を申し込み、税金の滞納があるかにもかかわらず「滞納なし」と申告して、K信用保証協会にA名義で信用保証の委託契約を申し入れしました。平成24年にはそれがAに発覚。同社の平成10年以降の滞納国税等の額は平成24年4月6日時点で851万2935円、政府系金融機関の残債務が同月19日時点で252万3000円あることが明らかになりました。

AはX2夫婦の会社運営や借入れ、これに関するA名義の利用やAの財産の管理について不満や不信感を抱き、弁護士に相談し同社の廃業を決意。同年4月6日滞納税による差押えの通知の送達を受け、Aは5月2日、自宅を売却し、滞納税と公庫の残債を弁済。その後Y宅に同居。同日Aは伊豆の別荘をYに贈与し登記委任状を作成。7月9日に登記を完了しました。その間5月18日にはYと共に税務署に赴いて会社廃業届けを提出しています。

他方X2は4月4日、Aを伴い初見の乙病院D医師に後見制度用診断書作成を依頼しましたが、翌日のMRI検査はキャンセル。4月16日付で、D医師が「『妹が家を売ろうとしているため診断書を急ぐ必要がある』という申し入れがあったため、必ずMRI検査をするという約束のもと診断書を作成した」と診療録に注記付きの診断書を添付し、X2がAの後見審判を申し立て、10月12日Aに後見開始の審判が出ました(D医師の検査は長谷川式認知症スケール1回)。

その後、後見人が別荘の移転登記抹消を提訴したところ、裁判所はかねてAがかかりつけの甲病院の平成13年5月以降同24年4月2日付までのAの疾病名記録簿や診療情報提供書を調査した上、「Aが認知症を罹患していたことを認めることはできず、意思能力を欠く状態であったと認めることができない」と抹消登記請求を棄却しました(横浜地裁 平成29年2月16日判決)。

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