Nスタイルホームは創業13周年を迎えました。
専ら相続税の基礎控除額を増やす目的で養子縁組をした場合、縁組が無効となることがありますか?
このほど、節税目的の養子縁組でも有効とした判断がなされました。最高裁で初めての判決です。
平成24年3月、Aが妻と死別。その翌月長男Bが妻子や税理士と共にA宅を訪れ、税理士がAに「お孫さんを養子にすると相続の際、基礎控除額が一人分増えるので節税効果があります」等と話をしました。同年5月、Aは孫(平成23年生)について法定代理人親権者Bとその妻であるC、養親としてA、証人としてAの弟夫妻がそれぞれ署名押印した養子縁組届を作成しS区長に提出して、孫と養子縁組を結びました。ところがその後、AとBの仲が悪化し、Aは独自の判断で同年10月、S区長に離縁届を提出しましたが、しかし、B側が離縁無効確認訴訟を提起し、裁判で離縁無効が確定。
平成25年6月Aが死亡。するとAの長女と次女が原告となり、孫を被告として養子縁組無効確認の人事訴訟を提起しました。原告らは民法802条1号の「人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないときは縁組を無効とする」との規定を援用し、「専ら節税目的の事由であり、当事者間に縁組をする意思がない」と縁組無効を主張しましたが、一審(東京家裁)はその主張を採用せず、原告の請求を棄却しました。
姉妹が控訴。二審(東京高裁)は本件養子縁組は専ら相続税の節税のためになされたものであるとした上で、このような場合は民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとして(一審判決を逆転し)姉妹の請求を認容しました。孫が上告受理を申し立て(民事訴訟法318条1項)、最高裁が受理。三審(最高裁)は、「本件は相続税の節税を動機として養子縁組をするものに外ならず、相続税の節税の動機と縁組する意思とは併存し得る。」「専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう当事者に縁組をする意思がないときに当たるとすることはできない。」「本件縁組について縁組をする意思がないことをうかがわせる事情はない。」「被上告人らの請求を認容した原審の判断には判決に影響を及ぼすことは明らかな法令の違反があり原判決は破棄を免れない。」「被上告人らの請求は理由がなく、これを棄却した第一審判決は正当であるから、被上告人らの控訴を棄却すべきである」と判示し、「原判決を破棄する。被上告人らの控訴を棄却する。控訴費用および上告費用は被上告人らの負担とする。」と自判しました(平成29年1月31日 最高裁三小 判決 最高裁ホームページ)
相続税法15条2項(基礎控除と養子の数)等、実務に影響する判決です。
Nスタイルホームへのお問い合わせは…