Nスタイルホームは創業13周年を迎えました。
住まいを貸すには、今後を見据えて“貸す理由”をしっかりと整理することが重要です。
例えば、将来にわたり貸し続けるなら「通常の賃貸借契約(普通借家契約)」、いずれ自分が住むつもりなら契約終了を確実にさせておく「定期建物賃貸借契約(定期借家契約)」があります。
また、将来住む予定がなければ売却のほうが適切(リンク:売却をご検討の場合は「売る」へ)な場合もあります。それぞれ効果的な必要経費の上げ方や確定申告の方法などが違う為、目先のお金と併せて実際に残るお金がいくらなのかまで計算する必要があります。
賃料は近隣の家賃相場を考慮するだけでなく、税金や管理費、修繕費などの支出を想定し、収支のバランスを考えながら決定します。不動産会社に仲介業務を依頼する場合は、賃料の査定を不動産会社に相談する事もできます。
賃料や契約期間などの賃貸条件を決定し、入居者を募集します。不動産会社に仲介業務を依頼する場合は、不動産会社に相談しながら賃貸条件や募集方法を決定することが出来ます。
入居希望者(斡旋をお願いしている不動産会社)からの問い合わせ、物件見学、条件交渉に対応します。
お部屋が空いている時は、ホコリや虫などで室内が汚れますし、見学に来た際に色んなところを触ってしまう為、定期的に清掃を行います。また、空室は匂いがこもる為、窓を開けて換気をすることも必要です。
入居者審査を行い、賃貸借契約を結びます。不動産会社に仲介を依頼する場合は、不動産会社が審査や契約のサポートを行います。
入居者からの賃料の受け入れ、苦情対応、共用部の清掃などのほか、契約期間終了時の契約更新や退去手続き、退去後の入居者募集などを行います。 ※家賃収入を得た場合は確定申告が必要です。
家賃相場を左右するポイントはたくさんの要素があり、それらが相互に組み合わされて相場に反映されます。
都心からの距離 | 都心に近い場所ほど相場は高く、遠ざかるに従って相場は下がる。 |
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最寄り駅からの距離 | 最寄り駅に近い場所ほど相場は高く、遠ざかるに従って相場は下がる。バス利用の物件は、徒歩圏内にある物件よりも相場は下がる。 |
利便性 |
利便性が高いほど相場は高くなる。 例えば各駅停車しか止まらない駅より、急行などが止まる駅のほうが相場は高くなる。また、駅前の商業施設が充実している駅のほうが、充実していない駅よりも相場は高くなる。 |
築年数 | 築年数が経過すると建物が老朽化するだけでなく、部屋の仕様なども陳腐化するため、相場が下がる。 |
設備 |
居室や台所、浴室、トイレなどの設備の性能が高いほど相場は高くなる。 最近では、ブロードバンド対応なども相場に影響することもある。 |
建物の構造 |
構造が堅固であるほうが相場は高くなる。 最近では、耐震性なども相場に影響する可能性がある。 |
広さ |
一般的な広さや間取りでない場合には相場が下がる。 また、ファミリータイプとワンルームタイプでは、一般的に相場が異なる。 |
取引時期 |
入居希望者が多い時期は相場が高くなり、逆に少ない時期は相場が下がる傾向がある。 例えば、新年度の転勤や進学などに伴う転居が多くなる1~3月までは、一般的に入居希望者が多いことから相場が高くなる傾向がある。 |
広告等に掲載されている物件の賃料情報である程度の相場を把握できますが、実際の取引では賃料が異なる場合もあるため、あくまでも目安として活用してください。
各地域の賃料相場や動向は、様々な統計情報が公表されています。そのほか、地域の不動産会社から相場情報を聞くことも有効です。
賃料 | 空室の可能性も考慮して少なめに見積もっておくほうが安全です。 |
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管理費(共益費) | 管理費(共益費)がある場合は毎月入ってきますが、物件や地域の取引慣習などによっても変わります。 |
礼金 | 賃料の1~2ヶ月分が一般的ですが、礼金を授受しないこともあります。 |
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更新料 |
新賃料の1ヶ月分が一般的ですが、更新料を設定しないこともあります。 ※礼金や更新料は地域の取引慣習のほか、市況の悪化により設定が下がる可能性もあります。 |
敷金など | 賃料の1~2ヶ月分が一般的ですが、退去時に入居者へ返還するため収入と分けて考える必要があります。ただし、退去時に賃料の滞納や損傷・破損などがある場合は、その支払いに充てることができます。 |
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管理委託費 | 不動産会社に入居者管理(賃料の集金や入居者からの苦情対応など)や、建物管理(物件の清掃やメンテナンスなど)を委託する場合に必要です。ただし、自ら管理を行う場合は必要ありません。 |
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住み替え先での住居費 | 自宅を賃貸した場合は、住み替え先での住居費が支出となります。 |
固定資産税・都市計画税 | 物件の所有者が納める税金です。 |
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管理費・修繕積立金 | 分譲マンションの場合は、管理規約等に基づいて支払う必要があります。 |
購入時のローン | 物件購入時にローンを利用している場合は、毎月返済する必要があります。ただし、住宅ローンから賃貸用のローンへの借り換えを求められたりする場合があります。 |
メンテナンス・修繕費用 | 設備故障などのメンテナンス費用や退去時の補修・クリーニング費用などが必要です。 |
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仲介手数料 | 入居者募集を不動産会社に依頼する場合、月額賃料の0.5~1ヶ月分+消費税の範囲内で仲介手数料が必要です。 |
その他諸経費 | 損害保険料、交通費や通信費などが必要となる場合があります。 |
建物の種類や規模、築年数等により異なりますが、建物・設備等の修繕費用は計画的に用意しておく必要があります。
住まいを賃貸するに当たっては、全体的な収支のイメージを持っておくと、貯蓄などの計画も立てやすくなります。
支店の多い不動産会社は、ネットワークを活用した情報提供や遠隔地での取引に強みあり、地域で長く営業している会社は、不動産以外にも地域情報に精通しているなど、各社特徴は様々です。近隣での評判などを参考に、担当者とのコミュニケーションの中で見極めていくことが大切です。
また、最近は経営のコンサルタントをしている不動産会社に依頼されている家主様も増えてきております。(オーナー様へリンク:コンサルタント会社に任せる理由)
不動産会社の基本情報は、インターネットや行政機関(宅地建物取引業者の場合)などで調べることができます。
複数の都道府県に事務所を構える会社は国土交通大臣の免許、1つの都道府県に事務所を構える会社は都道府県知事の免許で営業しています。免許番号からは免許権者と免許の更新回数を確認でき、更新回数が多い会社は一定の経験を有すると判断できますが、更新回数が少なくても高いノウハウを有する場合もあります。
「宅地建物取引業者名簿」には、免許の年月日、役員の氏名、すべての事務所の所在地、過去の行政処分の状況、他の事業の兼業状況などが記載されています。この名簿を見れば、不動産会社の概要を知ることができます。また、一部の行政庁では、宅地建物取引業者の概要や行政処分情報をインターネットで提供しています。
国土交通大臣の免許業者 |
免許業者の本店所在地を所管する地方整備局等(国土交通省の出先機関で全国に10ヶ所) ※なお、国土交通大臣の免許業者については、各業者の本店が所在する都道府県の宅地建物取引業者を所管する部署でも閲覧可能。 |
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都道府県知事の免許業者 | 各都道府県の宅地建物取引業を所管する部署 |
不動産流通業界には4つの業界団体があります。各団体では、会員業者の育成や指導、業務支援に加えて消費者からの苦情相談等を行っているため、団体への加入状況もチェックしておくといいでしょう。
管理業務には「入居者管理」と「建物管理」の2つがあり、業務内容も不動産会社や契約内容により異なります。何をどこまで任せるかを整理した上で業務委託することが重要です。
賃料集金代行 | 月々の賃料、管理費などの集金業務。振り込み、カード会社による提携サービスの利用、現金での回収などがある。 |
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賃料滞納への対応 | 賃料滞納した際に連絡などの対応を行う。賃料滞納には、適切かつ迅速な対応をしてくれる不動産会社を選びたい。 |
賃料保証 |
家賃保証会社が居住用賃料債務について保証するサービス(機関保証)。賃料滞納の際は、家賃保証会社からの弁済を受けることができる。保証業務には、賃料滞納後の賃貸借契約の解除、明け渡しまでにかかる弁護士費用を負担する特約などもある。 ※会社により保証内容は異なる。 |
苦情対応 | 入居者からの苦情や入居者と周辺住民とのトラブルなどの対応を行うサービス。 |
契約更新業務 | 契約更新、あるいは退去の意思を確認し、更新の場合には必要な契約書類を用意する。退去の際は、貸主に代わって明け渡しに立ち会うなどの業務を行っていることもある。 |
上記は一般的なサービス内容となり、不動産会社によって異なります。具体的なサービス内容を確認した上で委託してください。
日常的な業務 | 定期的に管理員を派遣し、清掃やごみ出しなどを行う。巡回の頻度などは個別の契約によって異なる。 |
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退去にかかわる業務 | 退去後の状況に応じたクリーニング、リフォーム、修理などの手配。 |
その他長期的な業務 | 物件の価値を落とさないための長期修繕計画作成、予算計画作成など。長期間賃貸する場合は、このような業務委託も検討したい。 |
上記は一般的なサービス内容となり、不動産会社によって異なります。具体的なサービス内容を確認した上で委託してください。ただし、賃貸する物件が分譲マンションの場合、共用部分の建物管理はマンションの管理組合で行われます。
管理業務には法規制がない上に業務内容が多岐にわたるため、委託業務の詳細や経費について十分に検討し、慎重に判断しましょう。
仲介業務と管理業務を1社に任せるのか、分けて任せるのかも踏まえて不動産会社を選択しましょう。
不動産会社と管理業務に関するトラブルが発生した場合は、契約書が解決の拠り所となります。
(1)希望する業務内容に漏れはないか、(2)委託費は適切かなど、不動産会社と適切に契約を結ぶことが極めて重要です。
サブリースとは、不動産会社が貸主から賃借した建物を入居者に転貸し、一定の建物管理を行う業務です。貸主は不動産会社と賃貸借契約(サブリース原契約)を結ぶだけで、入居者の募集(仲介)と管理を一体で任せられます。
不動産会社に空室リスクが移転するため、賃料収入が安定し、収支計画が立てやすくなります。
不動産会社が借り主となるため専門的な知識に基づく経営判断が必要なく、入居者との交渉なども必要ありません。また、借り主が1社なので確定申告の手続きも簡素化されます。
不動産会社は、入居者募集や管理にかかるコスト、空室リスクなどを見込んで賃料を設定します。したがって、直接自分で賃貸する場合と比較して賃料が減るのが一般的です。
サブリース原契約に賃料は減額できないとの特約があっても、賃料の減額や中途解約を求められる可能性があります。ただし、定期建物賃貸借(定期借家)の場合は取り決めに従わなければならないため、リスクを回避するにはサブリース原契約を定期建物賃貸借にするのもひとつの方法です。
建物の維持管理や入居者とのトラブルなど、不動産会社が適切に業務を処理していなかった場合は、サブリース終了後に特別な出費やトラブルが発生する可能性があります。
契約内容は下記のサブリース住宅原賃貸標準契約書を参考に確認しましょう。
賃料は直接賃貸したときの相場額と、サブリースの賃料を比較してみましょう。管理業務内容などにより単純に比較することはできませんが、このような検討を重ねて最終的に判断することが大切です。
不動産会社が不動産賃料などを評価することを「賃料査定」といいます。
査定の方法には、一般的に「簡易査定」「机上査定」といわれるものと、「詳細査定」「訪問査定」といわれるものがあります。
簡易査定・机上査定 |
周辺の取引事例データから算出した簡便な査定。 検討の初期段階でおおむねの相場を把握するために利用されることが多い。 |
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詳細査定・訪問査定 |
実際に物件の状態(建物内の住戸の位置、階数、向き、日当たり、眺望、設備、周辺施設、室内の傷み具合、賃貸前のリフォーム・修繕の必要性など)を細かく確認した上で行われる詳細な査定。 募集賃料の設定時などにおいて利用される。 |
賃料査定は複数の不動産会社に依頼し、査定賃料を比較するのもよいでしょう。正確な査定を行うためには、物件の不具合情報もできるだけ提供することが重要です。
複数社に依頼すると査定賃料に差が出てくる場合があります。しかし、高い査定賃料を提示したところがよい不動産会社というわけではありません。賃料が高すぎたために入居者が決まらないことがないよう、査定賃料が提示されたらその根拠を確認することが重要です。
査定賃料の根拠を確認すると同時に、その会社が信頼できるかどうかを見極めます。いかに丁寧で親身になってくれるか、説明内容が合理的で納得できるかなど「自分に合った」不動産会社を選びましょう。
賃料を査定し、その結果と貸主の希望賃料を踏まえて募集条件(賃料・敷金・礼金など)を設定。
インターネットや情報誌掲載などの広告宣伝、指定流通機構への登録、入居希望者からの問い合わせ対応や現地案内などを行う。
入居申込者との条件交渉、入居審査のほか、物件や契約条件などに関する説明(重要事項説明)を行う。
賃貸借契約を締結し、賃料や敷金・礼金の授受、鍵の引き渡しなどの入居手続きを行う。
上記は一般的なサービス内容となり、不動産会社によって異なります。具体的なサービス内容を確認した上で、不動産会社を選択しましょう。また、取引全般のサポートに対しては仲介手数料が必要です。
賃貸開始時期、希望賃料、入居者の募集方法などを明確に不動産会社に伝えます。ただし、条件により賃貸が困難な場合もあるため、不動産会社と十分に協議することが大切です。
依頼形態には「媒介」と「代理」があります。それぞれ特徴と自分の要望を踏まえて決定しましょう。
賃貸借の仲介手数料をめぐるトラブルは多いため、法規制などを理解した上で不動産会社と協議しましょう。
正式に仲介を依頼するに当たっての留意事項は次の通りです。
賃貸借の仲介では、不動産会社に仲介に関する契約書(媒介契約書)の締結が義務づけられていません。したがって、媒介契約書の締結は不動産会社の任意となりますが、仲介をめぐるトラブルを回避するために、できるだけ契約書を結ぶようにしましょう。
※売買の仲介は宅地建物取引業法により義務づけられています。
媒介契約書には不動産会社と合意した仲介業務の内容などを明記します。
一般的に入居希望者が多いのは、1月中旬から3月中旬の時期。逆に4月以降8月までの時期や年末は入居希望者が少ないため、不動産会社によっては礼金や手数料を設定しない、入居後一定期間の賃料を無料にするなど、営業促進策を採る場合もあります。
どのような募集方法でどんな反響があったかなど、不動産会社の活動状況を定期的に確認します。反響が少ない場合の対応策についても説明を求めましょう。
募集条件 |
相場より賃料が高くないか 敷金・礼金、更新料などの条件に問題はないか 季節的要因や地域的要因を加味しているか |
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物件の魅力 |
競合物件と比較して劣っている要素は何か 維持管理に問題はないか |
活動方法 |
有効な広告宣伝が行われているか 依頼した不動産会社の募集活動は熱心か |
一定期間たって空室が続く場合は、募集活動を見直す必要があります。原因を分析し、不動産会社と十分に協議しましょう。
立地・築年数など解消できない問題がある場合は、募集条件の引き下げを検討します。収支に影響しますが、空室解消を優先するなら引き下げが必要な場合もあります。
部屋の仕様や設備が劣るなど解消できる問題は、リフォームや設備交換を検討します。対応できない場合は、募集条件の引き下げを検討します。
不動産会社にこれまでの募集活動を確認し、営業の強化を依頼します。特別な広告宣伝をする場合は追加で広告費が必要になるため、費用面も含めてどのような募集活動をしてもらえるか確認しましょう。不動産会社が熱心でない場合は、他社へ相談することも検討しましょう。
一般的には、入居希望者や連帯保証人の住所、氏名、連絡先、勤務先、年収などを申込書に記入してもらいます。ただしこの段階では、入居希望者から申し込みを撤回されることもあります。
次の着眼点で慎重に判断します。仲介を依頼している場合は、不動産会社のアドバイスを受けるのもおすすめです。
審査結果は入居申込者に速やかに通知しましょう。また、入居審査のために得た情報はプライバシーに関わる内容が多いため、取り扱いには注意が必要です。契約を断る場合は、受領した書類を返却した方がよいでしょう。
契約前に物件情報をしっかりと開示することが大切です。例えば設備の不具合など、伝えるべき情報を開示しなかった場合は、貸主の責任を問われることもあります。
入居者募集を不動産会社に依頼している場合は、不動産会社に重要事項の説明が法律で義務づけられているため、これらの情報を正確に不動産会社に伝えるようにしましょう。
入居後に判明した設備の不具合などは責任が不明確となり、トラブルの原因となることがあります。入居前に物件の状況を確認し、不具合があった場合には修理をした上で物件を引き渡すようにしましょう。
契約日や賃料発生日、付帯設備などに関する取り決め、保険の取り扱い、駐車場や駐輪場の利用の有無などを調整します。入居申込者から賃料や敷金、禁止事項に関する要望が入ることもあるため、契約までに明確にしておきましょう。
賃貸借契約の一般的な項目とそのチェックポイントを紹介します。仲介を依頼している不動産会社にも確認するようにしましょう。
契約期間は更新や退去に関係するため、十分に理解しておきましょう。更新に関しては、更新手続きや更新料の取り決めを確認しておきます。
賃料や管理費(共益費)の額と受け取り方法、受け取り期日を確認します。滞納時に延滞金を課す場合には、延滞利率についても確認しましょう。また、賃料改定の取り決めがある場合にはその内容も確認します。
敷金などを預かる場合は、金額と返還に関する具体的な手続きを確認します。特に、敷金と退去時の原状回復費用との精算をめぐるトラブルは多いので、取り決めも含めて確認しましょう。
国土交通省が平成24年2月10日に公表した「賃貸住宅標準契約書」では、「貸主及び借り主が、暴力団等反社会的勢力ではないこと」などを確約する条項を盛り込んでいます。契約書の中にこうした条項が記載されているか確認しましょう。相手方がこれらに反する行為をした場合は、契約を解除(「(7)契約の解除」を参照)することができます。
禁止事項の例としてはペットの飼育、楽器演奏、石油ストーブの使用などがあります。契約条件として決めた禁止事項が記載されているかを確認します。
物件使用に必要な修繕は貸主が行いますが、入居者の故意や過失によって発生した修繕は、入居者が行います。取り決めが不明確な場合はトラブルの原因になるため注意が必要です。
例えば賃料の滞納や禁止事項に違反している場合、契約の解除を検討することもありますので確認しておきましょう。
解約通知の期日や具体的な手続きを確認します。
最もトラブルになりやすいのが原状回復にかかわる取り決めのため、できるだけ明確にしておくことが大切です。国土交通省が平成24年2月10日に公表した「賃貸住宅標準契約書」では、原状回復に関する取り決めを具体的に明記するように改訂され、別表として詳しい項目を提示しています。
退去時の修繕等の義務については、「通常の居住・使用による物件の破損、損耗」は貸主の負担で、「故意や過失による物件の破損、損耗」が借り主の負担とされます。本来は貸主負担のものを、借り主負担とする特約を付す場合は、説明と意思確認を慎重に行う必要があります。
その他の契約条件がある場合は特約事項として取り決めます。貸主側で個別の要望がある場合は、契約書に記載するのが望ましいでしょう。ただし、不当に不利益な特約はトラブルの原因となりますので注意しましょう。
契約には貸主や借り主、仲介した不動産会社、必要があれば連帯保証人も立ち会います。契約時は契約書の内容を読み上げ、内容に問題がなければ署名、捺印を行います。
この後、借り主から敷金や礼金、前家賃などを受け取り、敷金などに対しては預り証、礼金や前家賃に対しては領収書を発行します。その後、鍵を渡して契約は終了です。不動産会社に仲介を依頼している場合は、仲介手数料を支払います。
入居者管理 | 建物管理 | 自らの資金管理 | |
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日常的にやるべきこと |
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更新時・退去時にやるべきこと |
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長期的にやるべきこと |
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賃料の入金確認を行い、確認できないときは借り主へ連絡します。それでも入金がない場合は、滞納への対応を始めましょう。
苦情があった場合は早めに対応することが大切です。賃貸では設備故障や不備、近隣への苦情などが多い傾向にあります。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(以下「ガイドライン」)では原状回復を以下のように定義しています。
原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反*、その他通常の使用を超えるような使用による損耗、毀損(以下「損耗等」といいます)を復旧すること。
また、建物の損耗等を以下の3種類に区分しています。
- (1)建物・設備等の自然的な劣化・損耗等。時間が経つに連れて自然に劣化、損耗するもので、一般には経年変化といわれます。
- (2)借りた人の通常の使用によって生ずる損耗等。通常損耗といわれます。
- (3)借りた人の故意・過失、善管注意義務違反*、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等。
*善管注意義務:借り主は相当の注意を払って借りている部屋を使用・管理しなければなりません。例えば結露のような自然現象でも、それを放置してカビの被害を拡大させた場合は、善管注意義務に違反したとして借り主の責任になる可能性があります。
ガイドラインでは(3)の損耗のみを借り主負担としています。例えば、次の入居者を確保する目的で行う設備交換やリフォームについては、(1)(2)の経年変化及び通常使用による損耗等の修理にあたるため、貸主負担となります。
このほかにも震災等の不可抗力による損耗、上階の居住者による損耗等については、借り主が負担すべきではないとしています。
原状回復をめぐるトラブルの原因に、入居時の物件確認が不十分の場合があります。特に長期の賃貸借になると入居時の状況や損耗が曖昧になり、責任の所在がわからなくなる可能性があります。入居時は室内の現況・損耗等を記録に残し、双方で確認しておくことが有効です。
契約はガイドラインに沿って原状回復義務の範囲を決めましょう。また、借り主の原状回復に関わる特約要件については以下のように定められています。これらの要件を満たさない場合には、特約が無効になる可能性もあります。
賃貸アパートなどでは、清掃や電球の交換などの日常的業務を行います。建物管理を委託している場合は、不動産会社がこれらの作業に対応します。
設備の不備等はできるだけ早く対処する必要があります。また、退去時はクリーニングや修繕が必要なため、あらかじめ工事業者を整理しておきましょう。分譲マンションは設備ごとに修理業者が決まっている場合があるので、賃貸前に管理組合や管理会社へ連絡先の確認をしておきます。入居者管理や建物管理を委託している場合は、不動産会社が対応します。
長期賃貸の場合は、建物や設備の老朽化対応も必要です。設備の仕様が陳腐化すると賃料が下がることもあるため、定期交換できるよう長期的な修繕計画を立てておきましょう。
収支についてはすべて記録しておく必要があります。保険料、交通費や通信費などの細かい支出も忘れずに記録し、確定申告に備えましょう。
契約更新や退去の際は、更新料や礼金の収入、修繕や仲介手数料などの支出が発生します。また、敷金の返還もあるため収支管理を徹底する必要があります。
不動産収入を得た場合は、確定申告をする必要があります。
長期賃貸の場合は定期的な修繕や交換が必要となります。また、空室対策としてリフォームすることも考えられるため、長期的な資金計画を立てておくとよいでしょう。
個人の口座とは別に、賃料入金や管理会社への費用支払いなど、不動産賃貸用口座を設けておくと管理がしやすくなります。
不動産賃貸に関する入金や支払いは銀行口座に記録を残すか、領収書を保存する必要があります。領収書が発行されない交通費などは、一覧表にするなどして管理しておきます。
不動産所得の金額は、賃貸収入から必要経費を差し引いた額になります。収入金額は、前年の1月1日から12月31日までの間に収入として確定した賃料・管理費(共に益費)・礼金・更新料・返還しない敷金や保証金となります。
不動産所得が赤字の場合は、他の黒字所得と差引計算を行うことができます。これを損益通算といい、給与所得者の場合は給与所得にかかった所得税が還付されます。
確定申告の時期(2月中旬~3月中旬)は税務署が混み合います。確定申告で分からないことがある場合は、早めに確認したほうが安全です。
毎月の入金確認は賃料滞納を防ぐ第一歩です。できるだけ早めに滞納に気づき、対応していくことが重要です。
賃料滞納は早めに連絡をすることで容易な回収が見込めます。しかし、連絡が遅れると賃料滞納が常態化することがあります。連絡を重ねても効果がない場合は、内容証明郵便を利用するという手段もあります。深刻な場合は電話や郵便連絡に加え、連帯保証人にも連絡してみましょう。
「一定期限まで待ってほしい」と言われて支払いを猶予する場合は、「支払約定書」を作成し、公正証書にすることもできます。法的措置を採ることもできますが、個別の状況により対応も変わるため、弁護士や公的相談窓口を利用しながら対応を検討しましょう。
賃料滞納が続く場合は契約解除も視野に入れる必要があります。しかし、一度や二度の滞納では契約解除はできません。判例では、借り主と「信頼関係の破綻」に当たる滞納があった場合は契約解除できるとしています。具体的には「一定の猶予期間を設定し、支払い催告を行ったが支払わない」などが解除事由に該当します。契約解除には、適宜賃料支払いの要請あるいは催告を行い、内容証明郵便などを利用することも重要です。
基本的には貸主ですが、入居者管理を委託している場合は不動産会社が対応します。また、苦情内容に応じた対応先を入居者に提示しておくことも大切です。
苦情の原因を特定し、契約の取り決めを確認します。その上で、貸主か借り主のいずれが対応すべきかを判断します。
苦情は日常生活に影響することも多いため、迅速に手配することが大切です。苦情対応の遅れが原因で予想外の時期に退去となった場合、その後の収支にも影響してしまいます。
設備故障等の苦情は、あらかじめ修理業者を整理しておくと迅速な対応が可能です。不動産会社に管理を委託している場合でも、念のため修理業者を確認しておくとよいでしょう。分譲マンションの場合は、管理組合や管理会社に確認をします。修理業者から工事の立ち会いを求められた場合は、貸主または借り主のいずれかが立ち会うことになります。
近隣住民から借り主に苦情が寄せられた場合、すぐに注意を促しましょう。また、分譲マンションの管理規約は借り主の遵守も求められるため、貸主は借り主に注意を促す責任があります。もしルール違反を続けるようなら、契約解除も考慮した対応が必要になります。
退去時は敷金返還に関するトラブルが発生することがあります。基本的に敷金その他の預かり金は、家賃滞納や故意・過失による物件損耗等がなければ返還するものです。原状回復については、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参照の上、借り主が負担する範囲を明確にし、適切な対応をすることが重要です。
トラブル回避のためには、不動産会社の信頼性を見極めた上で契約内容を十分にチェックすることが大切です。管理であれば「週2回の清掃」ではなく、「週2回1時間、清掃箇所は……」など具体的に記載し、業務内容を明確化することでトラブルを回避できます。手数料や委託費は、同条件で複数社の見積もりを比較することも有効です。
サブリースは賃料の減額や中途解約などのトラブルが考えられます。これらは当初の賃料設定に無理があったり、不動産会社の信用力が原因の場合があります。トラブル回避のためには、サブリース原契約を定期借家契約とし、賃料減額や中途解約できない特約を付すことが必要です。
トラブルが起きたら、まず契約書の内容を確認しましょう。その上で解決方法を検討しますが、個々のケースにより対応は異なります。ここでは契約解除を視野に入れた対応について説明しますが、実際は専門家の意見も参考にしましょう。