Nスタイルホームは創業13周年を迎えました。
相談者
2×4工法の単身アパートの賃貸の申し込みに来られた、X氏というお客様に入居申込書の記入をお願いしたところ「なんでこんな書類をいちいち書かないといけないのか」などと面倒くさそうにされていたので、私が聞き取りをして記入しました。
楽器演奏の箇所について確認したところ「楽器は持っていない」とのお話でしたので、楽器使用なしにチェックをして、書類を作成し、ご入居いただきました。
後日、管理課よりX氏が部屋でギターを弾いていて、「消音機をつけて弾いているから問題ないはずだ」などと主張してトラブルになっているという話を聞きました。また、管理課が「契約書に楽器演奏なし」と記載されていることを指摘したところ「自分は書いていない」「そのとき自分は確かに「ギターを持っている」といった」などとおっしゃっているそうです。
A.申込書は契約書ではありませんが、代筆をするとトラブルを招くことがありますので、お客様に直接記入していただくのが賢明です。
担当弁護士
おそらく、「契約書」を代筆することは会社のルールとして禁止されているのではないかと思います。
「契約」の代筆の典型は署名を代筆することですが、本人が契約に署名したといことは、本人がその契約を守ることを「約束した」こと(契約意思と言います)を法的に意味し、これをもって当事者間に法的拘束力が生まれます。「代筆」はこの前提に疑義が生じてしまいます。きちんと契約をしているからこそ、裁判所の力を借りずにトラブルを解決することが容易になります。
さて、今回の問題は、「契約書の署名欄」の代筆ではありません。しかし、入居申込書はこれに虚偽記載があれば賃貸借契約の解除事由になるという意味で契約の一部をなすものです。「契約書」と書いていないからといって代筆をすると、ご相談のようなトラブルを招く可能性があるので十分注意してください。
また代筆のトラブルの中には、
① 「簡単な書類だから」と考えてお客様に了解を得ず、書類を代筆する行為
② お客様の記載漏れをお客様の了承を得ずに加筆する行為
などがあるかと思います。①は私文書偽造罪(刑法159条1項)、②は私文書変造罪(刑法159条2項)に該当するおそれがあります。必ずお客様に記入いただくようにしてください。
その後、管理課にてX氏にギターをやめるよう説得をしましたが、X氏は「そんなに大きな音は出ていない」と主張して、結局退去せず現在もこのマンションに居住しています(騒音が受任限度を超えていることを立証することは非常に難しく、騒音トラブルで賃貸借契約を解除するのは困難であるため)。未だに時々楽器演奏をして近隣とトラブルになっています。
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