Nスタイルホームは創業14周年を迎えました。

X(原告・次女)の父母は、居住していた住宅を売却することとして、自己の資材置場を探していた長男(訴外)に物件探しを任せました。
平成29年1月、長男は宅建事業者Y1(被告)から、本件不動産(建物はいわゆる分家住宅)が市街化調整区域内に所在する建物付きの土地であり、建物は開発許可申請者以外の者が使用できず、再建築もできないものであるという利用制限について説明を受けました。
Y1は長男および父母の希望により現地案内し、父母は購入申込みをしました。Y1は長男および父母に対し、本件不動産の前記利用制限について再度説明しました。
売買契約に先立ち、父母はY1から本件不動産の内容について重要事項説明を受けました。当該重要事項説明書には、「本物件は市街化調整区域内にあるため、原則として建築物の建築はできません。また、現在ある建築物については増・改築、再建築できません。現在ある建物は、(改正前)都市計画法第34条第10号ロに基づき、同法第29条の開発許可を受けて建築されています。ただし、当該開発許可は、申請者の売主Y2(被告)の自己居住のための建築物(専用住宅)として許可されたものであり、申請者以外の第三者が当該建築物を使用することはできません。申請者以外の第三者が使用する場合、特定行政庁から是正措置を命じられる場合があります」との記載がありました。
本件不動産は、長男の自宅から比較的近いところにあり、父母は建物に居住し、長男は土地を資材置き場として使用しました。
Xは、令和2年9月ころ、父母の具合が悪かったため、本件不動産の売却を考えて不動産事業者と相談したところ、本件不動産に利用制限があることを知りました。なお、Xは、長男および父母のいずれからも、本件不動産の利用制限について聞かされていませんでした。
その後、父母が亡くなり本件不動産を相続したXは、購入しても法律上居住できないことを告げず、具体的な説明を行わなかった等として、Y1らに対し3,383万円余の支払い等を求める訴訟を提起しましたが、原審はXの請求をいずれも棄却したため、Xがこれを不服として控訴しました。
裁判所は、次のように判示し、Xの請求を棄却しました。
亡父母は、Ylから、本件売買契約に先立つ重要事項説明において、本件不動産の利用制限について、重要事項説明書の記載を読み上げられる形で説明を受けたものであり、これにより、宅建事業者において説明義務を履行したものといえる。
Xは、亡父母が本件不動産を居住目的で購入しており、重要事項説明書の読み上げでは不十分であったとして、Y1の説明義務違反を主張する。しかし、亡父母が本件不動産を居住目的で購入したものの、Y1の重要事項説明に不十分なところがあるとはいえない。
Xは、Y2において、本件売買契約上、亡父母による開発許可が認められるために手続きをフォローすべき義務があるところ、そのような義務を履行していないと主張する。しかし、市街化調整区域内でいわゆる分家住宅を建築したY2が当該不動産を第三者である亡父母に売却した本件において、亡父母が新たに開発許可を受けることができる具体的な蓋然性は明らかではなく、かかる手続きを援助等する義務を認めるべき根拠も明らかではない。そうすると、Xの主張は、前提となる義務の発生を認めることができず、採用することができない。
①Y1は、亡父母および長男に対し、本件不動産の紹介に先立ち、利用制限のある不動産を紹介して、その利用制限を説明し、長男は、長女が問い合わせた利用制限がない不動産につき、希望と異なるとして、亡父母を現地に案内することもなかった、②その後、Ylが、亡父母および長男に対し、利用制限のある本件不動産を紹介した上、利用制限についても説明し、亡父母および長男がこれについて、現地への案内を希望した、③亡父母は、本件不動産の利用制限について、重要事項説明書の記載を読み上げる形で説明を受けた上で本件売買契約を締結したこと等の経緯に照らし、かつ、本件全証拠に照らし、Xの指摘する各事実等を考慮しても、亡父母がYlに対して、居住目的であることを伝えたことは認められず、また、X主張の義務があったことを基礎付けるに足りる事情等も認められない(東京高裁 令和6年1月25日判決)。
本件は、市街化調整区域のいわゆる分家住宅の利用制限について、宅建事業者が買主へ説明したこと、重要事項説明書記載の読み上げを行ったこと等が認められて買主相続人の損害賠償請求が棄却された事例であり、参考になると思われます。
市街化調整区域内に存する分家住宅の利用制限については、トラブルが時折見受けられることから、建築制限だけでなく利用制限も十分に調査することが必要となりますので、併せてご確認ください。
原則として建物が建てられない市街化調整区域において、本家(実家)から独立して新たに世帯を持つ親族(子どもや孫等)が、特別な許可を得て建てる住宅のこと。市街化調整区域に指定される前からその土地を所有し、そこで継続的に生活をしてきた親族から土地を譲り受けるなどして住宅を建てる場合には、例外的に開発許可を受け、住宅の建築が可能となることもある。建てた本人やその親族に利用が限定されるなど、制約が多い。
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