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賃貸のお困りQ&A

借主の建物不具合等を理由とした一部賃料の支払拒絶が債務不履行とされ、貸主の契約解除が認められた事例

ケース

平成29年11月、貸主Xは借主Yとの間で、契約期間:平成29年11月30日から2年間、賃料9万2000円、共益費3000円、毎月27日迄に翌月分を支払う条件で、本件建物の賃貸借契約を締結しました。

Yは平成30年10月、管理会社に対し、①2階の床音が騒がしい②ベランダから雨漏りにより洗濯物を干せない③キッチンの壁のタイルのつなぎ目や、ベランダから洋室への壁の隙間から虫が侵入する④風呂やトイレの換気扇が機能しない⑤風呂場の蛇口やシャワー口からの漏水⑥便座の故障等の苦情を申し立てました。

これらに対し、管理会社は2階床音についてはYからの苦情の翌日に2階入居者に注意文書を送付したほか、現地調査や各種対応を行いました。

これらの苦情申立て以降、Yの賃料支払いが遅れるようになり、平成31年4月、XはYに対して、滞納賃料28万5000円を5日以内に支払うよう催告し、支払いがない場合は賃貸借契約を解除する旨を通知しました。この滞納賃料は数カ月遅れて支払われましたが、この後も賃料の滞納は続きました。

令和元年11月、XはYに対して、滞納賃料65万5000円を5日以内に支払うよう催告し、支払いがない場合は賃貸借契約を解除する旨を通知。この滞納賃料は支払われなかったため、XはYに対して、賃貸借契約の解除、本件建物の明渡しを求める本件訴訟を提起。Yは賃料滞納の理由として、「本件建物は老朽化による不具合が多く、賃料は半額が相当である。契約期間満了までの賃料は支払済であり、滞納賃料はない」と主張しました。

解説

裁判所は、次のように判示し、Xの請求をすべて認容しました。。

  1. Yは、建物の不具合等により使用収益を妨げられた割合に応じて賃料の支払いを拒んだのであり、違法でないと主張している。しかし、本件建物には使用収益を妨げるほどの不具合があるとは認められず、Yが賃料の支払いを拒むことは、違法というべきである。
  2. ①2階床音:これを認める証拠はない。②ベランダ雨漏り:使用収益が妨げられていたとしても、その箇所や程度はごく限定的である。③隙間不具合:苦情を受け、管理会社がキッチンの壁タイルつなぎ目にコーキング補修を行ったことは認められるが、Yはその後苦情を申し立続けていない。④換気扇不具合:不具合は認められない。⑤蛇口等漏水:不具合は認められない。⑥便座不具合:管理会社が便座の留め具の取付工事を行ったが、不具合は認められない。
  3. 以上により、Yの賃料不払い理由とする、Xの本件賃貸借契約の解除、本件建物を明渡し容認する(東京地裁 令和2年1月31日判決)。

総評

本件は設備の不具合等を理由に、借主が一方的に賃料を減額して支払うことは、債務不履行として契約解除の要因となることがあると判断された事例です。貸主は、設備の苦情などがあった場合は確認し、記録しておくことが必要と思われます。

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