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町内会の掲示板に落書きした被告人の裁判で、聞きなれない判決が出ました。その意味を教えてください。
事件の状況を説明します。
公訴事実は、「被告人は×年×月×日午前4時5分頃、×市の路上において町内会所有の掲示板に黒色油性ペンで落書きして汚損し(損害見積6万3720円)、もって他人の物を損壊した」(刑法261条器物損壊罪)というものでした。掲示板は縦約70cm、横約90cmであり、幅約3cmの黄色の枠の内側に緑色の難燃性シートが貼られた板(掲示部分)がはめ込まれ、幅約7.5cm、高さ約71.5cmの脚部2本で支える仕様です。
落書きは掲示部分の上方から約5cm、右方から1.5cmの位置に黒色油性ペンで上方から順に「8/6」「プラスガード」「バクハツ」と、行を変えて書かれ、大きさは上端から下端まで約15cmに及んでいました。
当時、地元神社の例大祭の打上げが8月6日にレストラン「プラスガード」で行われると決まり、被告人は関係者のインターネット上の記載からそれを知り、書いたもので、犯行現場付近で現行犯逮捕されました。
町内の塗装業者が連絡を受けて落書きを消すことになり、洗浄用シンナーを携行容器に入れて持参し、午後5時過ぎ頃シンナーを雑巾に染み込ませ落書きを擦り、数分で消し終えました。
点は以下の通りです。
公訴事実については証明がなく、認定事実は軽犯罪法1条33号に該当し拘留または科料に当たる罪で簡易裁判所の専属管轄に属し地方裁判所の管轄に属さないから、掲示訴訟法329条本文により管轄違いを言渡した訳です。学説では、「地方裁判所に起訴された器物損壊罪と、簡易裁判所の専属管轄に属する軽犯罪法違反の罪のように大小包摂関係の場合は縮小された事実(軽犯罪法)が黙示的・予備的に主張されていると判断し、その事実を認定して管轄違いの言渡しをすべきである」というのが有力説です。
今回の判決はこの学説に沿う判断と解され、少なくとも無罪とは異なります(横浜地裁 平成30年6月26日判決 判例秘書 L07351203)。
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