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「都心の駅前ビルで長期契約の中途解約が認められた事例について教えてください。当社もテナントと中途解約でもめています」
昭和41年2月、都内I駅東口から3分の立地に2階建店舗(各階約257m2)が建築され、翌年7月、3階に寮(約162m2)が増築されました。建物登記は「遊技場・店舗・寄宿舎」です。
平成14年1月、本件建物は所有者Aが経営するパチンコ店として使用されていたところ、同年11月、百貨店小売業を営む会社Yが新規出店用建物として賃借を希望し賃借借契約を締結。平成16年9月には、売買を原因として賃貸管理を業とするXが本件建物の所有権を取得しました。
Xは平成22年7月、本件店舗の近隣で、より大規模な店舗(I東口駅前店)の営業を開始。本件店舗は新事業の実験店舗に変更され、平成23年2月から1・2階で趣味用品を扱う営業、平成24年2月から化粧品等を扱う営業を開始するも不振で、平成25年2月には本件店舗を閉店しました。
Yは同年3月頃、Xに本件建物3階を物販店舗として使用できるよう建築基準法の用途変更手続きを求め、変更まで賃料支払いを停止すると通知。さらに同年12月5日Xに送達の書状で、建基法の用途変更申請を催告したが、Xが応じないから本件建物を使用収益させる義務に違反しているとして、本件契約解除を通知しました。
するとXがYを提訴し、Yの未払い賃料9498万2320円(平成25年4月1日~平成27年9月30日)と利息の支払いを請求。Y①本件契約は債務不履行により解除された、②解除の意思表示は中途解約の予告にも当たるから6ヵ月後の平成26年6月5日の経過で契約は解約され終了した、と抗弁しました。
判決は「Yは10年以上本件店舗1、2階で支障なく物品販売を営んでおり債務不履行による解除は認められないが、Y都合による中途解約は6ヵ月前の予告と敷金と未償還保証金の全額放棄を要し賃借人側の負担が重い。これは好立地の商業用建物はYが営業をやめる事態でも賃料負担に見合う転用が可能と見込んだためと解される。本件は確認申請書類や検査済証の保存がなく、用途変更手続きが困難で事実上転用ができない状態であるから、やむ得ない事情があると解するのが相当である」と中途解約を認め、支払い停止の日から予告期間満了の日までの賃料4359万3748円と利息の支払いを命じました。
(東京地裁 平成28年1月12日判決)。
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