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区分所有者が主張した雨漏りの原因の究明義務と管理費等支払い義務は、履行上の牽連関係は認められないとした事例

【ケース】

Xは某マンションの管理組合であり、Yはそのマンションの区分所有者の一人で、「X管理組合規約」には、次の定めがあります。

  1. Xは、管理業務として、次の業務を行う。 敷地および共用部分等と点検・定期保守・清掃等の維持管理・共用部分等の諸修繕・その他日常の維持管理に関する業務
  2. 組合員は、アの業務に必要な費用、管理費を支払う。
  3. 組合員は、エの業務に必要な費用として、管理費用の他に補修積立金を支払う。
  4. 外壁、内壁、床、手すり、天井、ホール等共用部分等の補修、修繕費、不慮の事故その他の事由による共用部分等の修繕

区分所有者であるYが管理費等を支払わなくなったため、Xは裁判所へ支払督促を申し立てましたが、その際、Yは以下の異議申立てを行いました。

  1. Y所有の専有部分天井から雨漏りするようになったが、原因は共用部分にある可能性高く、Xには原因を究明して修繕する義務がある。
  2. Xが雨漏りの原因を究明する義務を果たさないので、Yは同時履行の抗弁として、管理費等の支払いを拒否した。
  3. Xの共用部分等修繕義務とYの管理費等支払義務は、いずれも本件マンション管理規約に基づき発生しており、相互に関連的に履行させることが当事者の公平に適するので、履行上の牽連関係が認められる。よってXが共用部分の修繕を履行しない限り、Yは管理費等の支払いを拒否できる。

【解説】

裁判所は、次の通りに判示し、Yの抗弁を否定し、Xの請求を認容しました。

  1. 区分所有建物の管理費等は、管理組合の構成員である区分所有者らが、管理組合に管理を行わせる対価として支払うものではなく、区分所有建物の維持管理という共通の利益や必要性のある事項の費用等に供するため、拠出するものである。
  2. X管理組合規約に照らせば、区分所有者がXに対して支払うべき管理費等は、Yが主張する修繕義務と一対一の対応関係にないことは明らかであるし、Yの区分所有者の一人として本件専有部分を所有し、共用部分や敷地を利用している以上、Xによる管理業務によって生じる利益を享受しているというべきである。
  3. 区分所有者らの管理費等の支払いと、管理組合が行う管理業務等とが、双務契約における当事者間の相対する同時履行関係にあるということはできず、仮に、XにYが主張するような修繕義務の不履行があったとしても、管理組合の構成員の一人であるYが、同時履行の抗弁権により構成員全体の共通の利益ないし必要性のある事項の費用等に供される管理費等の支払を拒むことはできない(東京地裁 平成29年9月20日判決)

【解説】

本件はYが控訴しましたが、控訴審も同様の判断となりました。
区分所有者と管理組合、管理費と管理業務の関係を改めて理解する上で、参考となる事例です。

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