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被告らYは夫婦であり、その子どもは姉(小学5年生)と弟(同2年生)の2人で、Y一家は原告Xらの真上の居室に入居しました。
Yらは入居後、①子どもの泣き声や掃除機の音がうるさく、一家で激しい騒音を起こす ②ドアやサッシを勢いよく閉めてわざと原告らの居宅に音を響かせる等の威嚇・脅迫行為を行う ③同マンションの駐車場において原告らが駐車できないほどに幅寄せ駐車する ④2階のベランダから汚水を流す行為をするなど各種不法行為を行ったため、原告Xらは多大な肉体的・精神的苦痛を被ったなどと主張して、不法行為による損害賠償を求めました。
裁判所は、次の通り判示し、Xの請求を棄却した。
(1)当時、Yの子の姉が小学3年生、弟が未就学児であり、姉弟喧嘩等によって子どもの泣き声が響くことは一家の日常生活に必然的に伴うものとしてやむを得ない面がある上、Yは子が20分以上泣くことがあると窓を閉めるというように配慮しており、これによる生活妨害が長時間に及んでいるとか、不相当な時間帯に発生しているということはできない。よって、Yの一家による生活音は、集合住宅における社会生活を営む上で通常発生する生活音にとどまるというべきであり、受忍すべき限度を超えているとは言えない。
(2)ドアやサッシを閉める音については日常生活において必然的に生じるものであるし、Yがドアやサッシを閉める際に著しい音量がX宅に響いたことがあったとしても、それが一日のうち多数回に及んだり、日常生活に繰り返されたことを認めるに足りる証拠はない。
(3)Yが、乗用車を自己の駐車スペースに駐車する際、Xの駐車スペースにわずかにはみ出す形で駐車したことは1回だけであると認められ、また、YがXの駐車スペースに著しく近接して駐車した例も複数回認められるが、これはYの駐車スペースが駐車場の一番奥にある上、隣にあるXの駐車スペースとの間にも余裕がなく、物理的に駐車が難しいことに起因するものであり、Yが意図的に幅寄せ駐車をしたとはいえない。
(4)X宅のベランダに水が漏れる事態が発生していたが、Y宅のベランダの一部はすのこ状となっているため、Yがベランダの掃除を行うことで少量の水がベランダに流れ落ちることは、日常生活の範囲から生じるものであり、故意にベランダに水を流したと認めるに足りる証拠はない。
以上により、Xの請求はいずれも理由がないから棄却する(東京地裁 平成27年11月18日判決)。
本判決は、「マンションのような集合住宅にあっては、その構造上、生活音や振動が他の居宅に伝播することは通常想定される事態であり、生活音を完全に防止することは困難である上、騒音に対する受け止め方も個々人の感覚や感受性に大きく依存する主観的な面もあり、一定の限度までの生活妨害は、集合住宅における社会生活上やむを得ないものとして互いに受忍すべきである」と判示し、子どもらの泣き声は日常生活に必然的に伴うものであり、生活音として受忍すべきであるとして判断は当然であろう。
騒音問題は複雑であり、集合住宅では特に日頃からの住民同士のコミュニケーションが大切である。
※(一財)不動産適正取引推進機構 実際にあった判例からを参照しています。
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