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平成26年5月、媒介事業者Xは、売主Aから、所有する事務所ビル(本件不動産)の売却依頼を受け、媒介契約(本件媒介契約)を締結しました。
平成27年9月、Aと買主YはXの媒介により、代金8700万円で本件不動産を売買する契約(本件売買契約)を締結しました。
しかし、本件不動産に設置されているエレベーターが正常に作動しないなどの不具合があり、Aの負担で修理を行うこととなったため、予定していた引渡し期日が遅延してしまいました。引渡し遅延の責任を問われ、結局Aは売買代金を7000万円に減額しました。
その後Yは、Xは本件不動産のエレベーターに不具合があることを知っていたにもかかわらず、Yに対してこれを全く説明していなかったものであり、調査・説明義務を怠った債務不履行があるとして、Xに対し媒介報酬150万円を支払わなかったため、Xは、裁判所に対し、Yによる媒介報酬の支払いを求めて訴訟を提起しました。
裁判所は次の通り判示し、Xの請求を認容しました。
売買契約の履行が完了しており、すでに目的を達している以上、説明義務違反を理由とした解除をもってしても、当該媒介契約の効力が遡及的に消滅するものではないとする本件判示は、実務上一つの参考になると思われます。
また、本件の買主Yは海外に本店を置いていた企業でしたが、他にも慣習の違い等から媒介手数料を支払わないと主張した事案があります(東京地裁 平成27年9月15日判示)。一般論として、商慣習を異にする者に対しては、誤解が生じないように十分な意思疎通やより適切な説明を行うことが重要でしょう。
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