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クリーニング費用、礼金の特約が、消費者契約法10条に違反しないとされた事例

賃借人が、賃貸借契約時に支払ったクリーニング費用・礼金は消費者契約法10条により無効である、解約月の退去後分賃料について賃貸人が不当に利得しているなどと主張して、その返還を求めたが、いずれの主張も理由がないとして棄却された事例。(東京地裁 令和2年10月7日判決 ウエストロージャパン)

1.事案の概要

平成26年9月28日、賃借人X(原告)は、賃借人Y(被告)との間で、本件建物につき、蹴役期間を同日から平成28年9月30日まで、賃料92,000円、共益費4,000円、その他費用1,920円とする賃貸借契約を締結しました。
XはYに対し、同月26日、本件契約の初期費用として、クリーニング費32,400円、礼金46,000円を支払った。また、Xは、本件契約に際し、保険会社と賃貸住宅居住者総合保険を締結し、保険料として12,450円を支払った。
XはYに対し、平成28年7月27日付書面にて同年8月末日をもって解約すると通知し、8月22日に本件建物を明け渡した。
しかし令和元年6月、XはYに対し、下記のように主張して、計12万円余の返還を求める本件訴訟を提起した。

<Xの主張>

  1. ① クリーニング費用相当額:クリーニング特約は消費者の義務を荷重するものであるから、消費者契約法10条に反し無効である。
  2. ② 契約終了月の退去後期間の賃料相当額:Xは、平成28年8月22日に本件建物から退去しており、同月分賃料のうち、23日から31日までの賃料等をYは不当に利得している。
  3. ③ 礼金相当額:本件契約において、礼金の趣旨・内容は明示されておらず、消費者に対して民法上にない義務を負わせるものであり、消費者契約法10条に反し無効である。
  4. ④ 保険料相当額:Yは、Xが本件建物の入居に際して加入する住宅保険の商品選択をさせず、Yが指定する商品の契約を締結させ、Xに割安な保険商品を選択する権利を侵害し、Xに損害を与えた。

2.判決の要旨

裁判所は、次の通りに判示し、Xの請求をすべて棄却した。

(1)クリーニング費用の返還請求について
Xは、本件クリーニング特約が消費者契約法10条により無効であると主張する。
しかしながら、本件契約書にはクリーニング費用として32,400円を支払うこと、同費用は入居期間の長短にかかわらず清掃費用をした場合でも返金されないこと、賃借人が清掃をした場合でも返金されないことが明記されており、その内容は一義的に明確である。
そして、本件重要事項説明書にも同趣旨の記載があることなどに照らせば、消費者であるXにおいてもその負担内容を理解することが容易であるといえ、本件クリーニング特約において定められている金額がクリーニング費用として社会相当性を逸脱したものとは認められない範囲にとどまっていることも合わせて考えれば、本件クリーニング特約が、信義則に反して消費者であるXの利益を一方的に害するものであるとは認められない。
本件クリーニング特約が、消費者契約法10条により無効というXの主張は採用できない。
(2)退去後期間の賃料の返還請求について
Xは、平成28年8月の中途で本件建物を退去したから、退去日後の同月分賃料はYが受領する法律上の根拠がないとして、その賃料相当額の返還を求めている。
しかし、本件において、XがYに対して平成28年8月末日での解約を申し入れているから、本件契約は同日をもって終了したというべきであり、同日以前にXが本件建物を退去したとしても、Yにおいて退去日以降同月末日までの賃料を受領する法律上の原因がないことになるとは言えない。
よって、本件契約終了月の退去後期間分の賃料相当額に関するXの請求には理由がない。
(3)礼金の返還請求について
Xは、本件礼金条項は信義則に反して消費者であるXの利益を一方的に害するものであるから消費者契約法10条により無効と主張し、同金員の返還を求めている。
しかし、本件契約書には、礼金として賃料0.5カ月分相当を支払うこと、礼金は返金されないことが明記されており、その内容は一義的に明確である。
賃貸借契約を締結するに際しては、賃借人から賃貸人に対して礼金として賃料の1、2か月分程度の金員を交付するが、同金員の返金は予定されていないという慣行が広く存在することは公知の事実であること、本件契約における礼金が賃料0.5か月分にすぎないものであることを合わせて考えれば、消費者契約法10条に違反して無効というXの主張は採用できない。
(4)保険料相当額
Xは、YがXに加入する住宅保険の商品選択をさせず、Y指定商品の保険契約を締結させたことにより、Xにおいて割安な保険契約を締結する商品選択権を侵害し、また、Yは保険会社から手数料を得ているから不当利得があると主張している。
しかし、賃貸物件を保障対象とする保険の選択については、賃貸人の利益にも重大な影響があることを鑑みると、賃貸人が保険商品を指定することにも一定の合理性が認められ、そのことによって直ちに不法行為を構成するとはいえない。
そして、Xも、最終的にはYが指定する保険契約を締結したうえで本件建物に入居しているものであるし、YがXに対し、本件保険契約の締結を違法に強制した事実を認めることはできず、また、Xが本件保険契約を締結したことによって、Yが法律上の原因なく何らかの利得をしたということもできないことから、Xの主張は理由がない。
(5)結論
以上により、Xの請求はいずれも理由がないため、これを棄却する。

3.まとめ

本件と同様に、消費者契約法10条に関し、クリーニング特約が反していないとされた事例として、東京地判 令2.9.23 RETIO 123-118が、礼金が反していないとされた事例として、東京地判 平20.9.30 RETIO 73-194が見られる。
また、更新料特約が、消費者契約法10条に違反しないとされた事例としては、最二判平25.7.15 RETIO 83-119が見られるので参考にしていただきたい。

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