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賃貸のお困りQ&A

土地売買契約で「隣地所有者の立会いを得て作製された確定測量図」とは?

【ご相談】

隣人の立会いを得て作製された確定測量図とは何ですか?隣人の署名押印が要りますか?

立会いの結果確定された境界の書面による承諾が必要

最近の事件を見分しましょう。

Xは土地所有者、Yは不動産の売買等を目的とする会社です。平成29年2月11日、Eの仲介ではXはYに〇市〇町505番の土地を代金7500万円で売り渡し、同日手付金375万円を受領。残代金支払日は同年5月29日です。同日までに、XはYに隣地所有者らの立会いを得て資格のある者の測量により作製された確定測量図を交付すること、測量図が作成できないときは引越し時までであればXは損害賠償の責めを負わず契約を解約できるという特約付きです。

XはH事務所に測量を依頼。4月頃Hから「一部の土地に越境(数cm)があり隣地所有者らと覚書を交わす必要がある」と指摘され委任。J調査士が隣地所有者らの立会いを経て各人から境界の承諾を得て境界立会図に署名捺印を得、擁壁越境の確認書にも署名捺印を得ました。しかし、南接512番の所有者Aのみは「境界自体に異議はないが、擁壁の上部が最大2~3cm越境しておりその処理に納得できない」と境界立会図および越境確認書への署名押印を留保。Yが5月27日と6月4日にA宅を訪れ署名を求めたがAは留保を継続したため、XYは残代金支払日を7月28日まで延長しました。

7月19日、YがXに所定の測量図が作成できない以上、売買契約を白紙解約したいと要請。同月24日、HからXに「512番との境界は平成27年6月9日付で当時の所有者Gの立会いを経て確定測量図が作成され市の土木課が保管。同地は平成22年に区画整理法の換地処分が行われており平成27年の確定測量と境界が合致している。法務局は今回の境界立会図にAの署名押印を得ない状態でも分筆登記に支障はないとの見解である」と報告が入りました。

以後、XはYに対し残代金の支払いを催告しましたが、Yは現所有者Aの境界承諾署名が得られない以上応じられないと、残金支払いを拒否し訴訟に移行。Yの残金不払いでXが契約を解除し、Yに違約金等請求の本訴と前記確定測量図を交付せず解除されたXにYが手付金返還請求の反訴です。地裁は、Aが立会い境界を承諾した署名押印のない確定測量図を約定の測量図と認めず、Xの請求を棄却。Yの解除による手付金返還請求の反訴を認容しました(名古屋地裁 平成31年3月26日判決)。

Xの控訴で高裁は「立会いを得て」とは、立会いの結果確定された境界につき書面による承諾を得る義務を課す趣旨であるとする一審の判断を支持し、現所有者の境界承諾の署名押印を得た確定測量図を交付しないXの控訴を棄却し、Yの付帯控訴(支払期以後の遅延損害金)を認容しました(名古屋高裁 令和1年8月30日判決)。

その後、Xは平成29年11月27日本件土地をFに売却しましたが、Aの立会いを得ない状態の取引のため価格が低下し6600万円の売買でした(判例時報2483号)。

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