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賃貸のお困りQ&A

敷金返還債務は賃貸人の地位の移転に伴い新賃貸人に当然承継される

【ご相談】

店舗を賃借して約20年。昨年来のコロナ禍で経営が困難になり撤退を検討中です。
解約で高額な敷金が戻るはずですが、当時の貸主は亡くなっています。
誰が責任を持って返してくるのですか?

敷金は賃貸借契約と密接に関係する

難しい問題です。この前提で直截的に結論を示す条項や最高裁判決はなく、以下の二説が併存しています。

Ⅰ説:敷金返還債務は可分債務であるから被相続人の死亡により遺産分割を待たず法律上当然に分割され、法定相続人らが各法廷相続分に応じて承継する。
Ⅱ説:敷金の法律関係は賃貸借契約に付随従属する。建物所有権の移転に伴い賃貸人の地位に承継があった場合、敷金の法律関係も当然に新賃貸人に承継される(最一 昭和44年7月17日判決)。

以下実例で説明します。

平成元年12月8日、Aは長男Bと共有で大阪市内の3階建物と敷地を購入(持分はA:116分の96、B:116分の20)。同日ABは、株式会社X(代表取締役B)に建物を賃貸。賃貸人AB、賃借人X、期間は同日から2年間、賃料月額250万円、敷金3000万円。使用目的はXの飲食店経営で、以後、契約は更新を重ねました。

平成26年5月11日、Aが死亡。翌年1月23日、Aの持分権はBが相続取得する旨の裁判上の和解がAの長女とB間で成立しました。同年12月15日、Bは本件建物の持分の2分の1をGに譲渡しました。

平成29年4月30日、BGとXは本件賃貸借契約を合意解約し、同日Xは本件建物を明け渡しました。Xは被相続人Aの法定相続人らに対し各法廷相続分に応じた敷金返還を請求し、これを争った長女に対し、法定相続分割合の敷金返還債務として金750万円の支払いを求めて大阪地裁に提訴しました。原告Xは(Ⅰ説に準拠し)分割債務を請求。予備的に相続人らの間で法定相続分に従って分割承継する合意が成立したと主張。被告長女は(Ⅱ説に準拠し)分割債務を否認し、分割合意の成立を否定しました。

地裁は「敷金の法律関係は賃貸借契約に付随従属する」と(Ⅱ説に立ち)最高一 小 昭和44年判決を援用し、譲渡に限らず相続により賃貸人の地位の移転を生じた場合を別異に解すべき理由はない。また相続人らの分割合意の成立もない、とXの請求を棄却しました(大阪地裁 令和1年7月31日判決)。

Xが控訴し「賃貸物件を売買で特定承継した場合と相続で包括承継した場合とを同視することは相当でない。相続の場合、恣意的に無資力者に金銭債務全額が承継されるのを防止し相続債務者を保護している」と補充主張。高裁は「敷金は賃貸借契約に基づき賃貸人が賃借人に対して取得する債権の担保であるから、賃貸借契約と密接に関係し随伴すべきものと解される」「賃借人が旧賃貸人から敷金の返還を受け新賃貸人に敷金を差し入れる労と旧賃貸人の無資力の危険から賃借人を保護すべき必要性に鑑みれば賃貸人の地位に承継があった場合、敷金の法律関係は新賃貸人に当然承継されるべきである」(Ⅱ説)と控訴を棄却しました(大阪高裁 令和1年12月26日判決 判例時報2460号)。

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