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前面道路が私道である宅地の売買において、買主から私道の通行・掘削に関する承諾書が必要と言われ、物件引渡しまでに売主が私道所有者から承諾書を取得し、買主に交付することとしたが、承諾書を取得できなかった。買主は売主の違約だとして手付金の返還や違約金の支払いを請求している。
前面道路が私道であっても、囲続地であれば囲続地通行権、囲続地でなくても建築基準法上の道路であれば「通行の自由」により、私道の通行は可能(ただし、自動車通行ができるとは限らない)であり、また2023年4月に施行された改正民法では、他の土地に設備を設置しなければ電気、ガス、水道等の継続的給付を受けることができないときは、他の土地に設備を設置することができる権利も認められるようになりました(民法213条の2)。といっても、自力救済は禁止されているので、私道所有者が反対していれば私道に勝手に水道管等を設置することはできませんから、私道所有者の承諾書を要求する買主は多いでしょう。
単に「売主は引渡しまでに私道所有者の承諾書を取得し買主に交付する」としている特約も見かけますが、売主が承諾書を取得するために誠実に行動しても、私道所有者と連絡が取れなかったり、私道所有者が承諾書に応じない場合もあるでしょうし、売主が取得した承諾書の内容が、買主の期待していたものとは異なっていたためにトラプルになることもあります。
特約例1-1は、売主が取得すべき承諾書の内容を別紙で添付して特定し(1項)、売主の債務不履行となることを避けるため、引渡し日までに私道所有者から承諾書を取得できなければ、売主は契約を解除でき(2項)、解除された場合、売主は手付等の受領済金員の返還のみで違約金の支払いは要しないことを明記しています(3項)。承諾書がないと困る事情は買主にあるので、買主が簡便に契約関係から離脱できるよう買主からも解除できることにしました。
なお、特約例1-1では私道所有者の「承諾書」としましたが、売主自身も署名する「協定書」を作成したい場合には、次のように修正してください。
特約例1-1や1-2は、解除権を留保したものですが、一定の日までに承諾書(または協定書)がとれない場合は、解除手続を要せずに当然解除とする解除条件型の特約にすることもできます。その場合には、前記の特約例の2項以下を次のようにすればよいでしょう。
ただし、解除条件型の特約では、引渡し日を延期する場合は、引渡し日までに延期の合意書を作成する必要があることに注意が必要です(このあたりの考え方は、解除条件型のローン特約と同様です)。
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