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知人は数十年前に建てられた分譲マンションの区分所有者で、敷地は借地権です。最近マンションの駐車場が廃止され敷地が売却されて戸建6戸が建築され、確認も下りたらしいのですが、あり得るのでしょうか?
詳細を説明します。
マンションの建設に当たり、宅建事業者Bは昭和44年11月、地権者Aと本件底地(1697m2余)に借地権を設定しました。翌年6月、マンションの建築確認を受け(敷地は周辺地を含む3024m2余)、昭和46年2月借地契約の一部を変更し、期間60年、対価2億1785万円余、借地料月額6万円とし、借地権を設定しない隣接地(駐車場)については合意事項(同地に構築物を建設せず、Bの承諾なく売却しない。必要な場合Aは隣接地を建築基準法の敷地として将来にわたって提供する)を追記しました。同年7月、マンションが完成し分譲を開始。
平成12年9月、本件底地と隣接地が競売によりAからCに移転しました。平成17年1月、同地が売買によりCからDに移転(C、Dは区分所有者と底地の借地契約を締結)。平成25年11月には、同地が担保不動産競売でDからEに移転。Eは現状調査報告書や物件明細書等を閲覧し、「駐車場使用者の占有権原は買受人に対抗できない」ことを確認し、転売目的で本件底地と隣接地等を2億6100万円余で取得し、底地賃貸人たる地位を承継しました。同月22日、EはFに本件隣接地等を2億円で売却。所有権移転と代金決済は建築確認取得後平成26年1月31日まで、確認不可の場合は白紙解除の特約付き。Fは、隣接地に戸建の建築確認を申請し、区(建築課)は確認を留保。同地はマンションの確認時に敷地として申請されており両地の所有者が同一の場合、確認は困難との説明です。平成26年1月27日、区はEと管理組合に「隣接地に確認申請が提出されたから借地する等適法な状態の維持を求める」と通告。同夜Eは組合を訪ね、「年末に隣接地等をFに売却したが2億円以上であれば解除し組合に売却する、期限は1月31日」と申し入れ、組合は4日間では見当不可能と応答。1月31日、EはFとの売買契約を解除し(確認下付のときは優先購入可の特約)、2月7日自社系列のGに隣接地等を2億円で売却しました(登記を先行し代金は未納)。
3月13日、FはGから同地を買い受け、確認申請を出し直し、確認を得て戸建6戸を建築しました。
区分所有者Hが提訴し、Fに建築収去と敷地使用の妨害排除、EにAB合意不履行の賠償、EFGに共同不法行為の賠償等を請求しました。東京地裁は、AB合意による地役権設定またはその時効取得を否定し、EFGにAB合意の承継を否定し、FにEGとの資本関係等を否定し、Eには「賃貸人であっても隣接地を売却したことが信義則上の義務違反とは言えないが、売却に際し組合に検討する十分な機会を与える等、法の適合に誠実に協力すべき義務を怠ったことは不法行為を構成する」と慰謝料30万円と弁護士費用3万円の支払いを命じました(東京地裁 平成29年4月28日判決 判例秘書L07230171)。
建築確認は形式的な判断に留まり、使用権限の有無等法律関係を審査する権限がなく現地調査の義務もないため、トラブルの原因となることがあり注意が必要です(本件はその後、区分所有者が隣接地を購入する内容の和解が成立)。
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