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賃貸のお困りQ&A

立退き料を支払わなくて済む土地とは

相談内容

相談者 地元の建設会社なんですが、X建設(株)に資材置場として土地を貸しています。また、別の土地になりますが、Y自動車販売(株)に中古自動車販売展示場として貸している土地があります。今後相続対策のためマンション建設などを考えていますが、どちらの貸主も、借地を返すなら立退き料として1000万円以上を支払えといって話が進まなくて困っています。そもそも今まで安く土地を貸していたうえ、立退き料を支払わないといけないのでしょうか。

物件概要

X建設(株)に貸している資材置場
現地の状況
建物基礎:コンクリートブロック(プレハブユニットをのせただけ)
建物構造:プレハブユニット(事務所利用)
賃貸借契約書
土地使用目的:「資材置場」と明記
特約条項:「仮設建築物のみ建築を認める」と明記
期間内解約条項:「3ヵ月以内に通知し期間満了で借主は明渡しする」と明記
Y自動車販売(株)に貸している中古車販売展示場
現地の状況
建物面積:敷地全体のごく一部(約7%)
賃貸借契約書:
土地使用目的:「中古車販売展示場」と明記
資料
周辺一時貸土地の相場賃料と一緒

経緯

24年前
相談者AとX建設(株)の間で資材置場として利用する土地賃貸借契約締結。
21年前
相談者AとY自動車販売(株)の間で中古車販売展示場として利用する土地賃貸借契約締結。
1ヵ月前
X建設(株)とY自動車販売(株)に対して、それぞれの土地賃貸借契約書における期間内解約条項に従い、3ヵ月前の解約予告通知を行う。
現在
X建設(株)とY自動車販売(株)それぞれから、1000万円を超える立退き料を要求される。

当事者の主張

貸主:相談者Aの主張
期間内解約条項に従い、立退き料なしで解約したい
借主:X建設(株)の主張
退去を要求するなら立退き料を求める
借主:Y自動車販売(株)の主張
会社の売上の8割を担っているので、退去を要求するなら立退き料を求める

解説

法的に整理するとどうなるか

① 立退き料の支払い義務の根拠は「借地借家法」に書いてある

担当弁護士 立退き料の支払い義務の根拠は、借地借家法第6条に記載されています。言い換えますと、借地借家法が適用されない土地は、立退き料を支払う根拠がありません。

相談者 すると、借地借家法の適用がない土地はどういうものなんですか。

② 「借地借家法」が適用されてしまうかどうかは「借地借家法第1条」に書いてある。

担当弁護士 それは、借地借家法第1条の条文中の「建物の所有を目的とする」に当てはまるかどうかで決まります。

相談者 これは難しくてよくわかりませんね。

③ 「建物」かどうか、「建物の所有を目的とする賃貸借契約」かどうか

「建物」とは(判例から)
土地の定着物として、永続性を有し、住居、事務所等の用途に使用され、用途に応じた屋根をふき、囲壁を有する独立性がある建築物をいいます。
要するに「雨風をしのげるか」「土地に固定されているか」

「建物の所有を目的とする賃貸借契約」とは(判例から)
建物の所有が、土地使用の主たる目的でなくてはならず、従たる目的にすぎない場合には、「建物の所有を目的とする賃貸借契約」ではありません。
具体的には、ガソリンスタンドは営業として事務所建物が必要不可欠であり、建物の所有が主たる目的と評価でき、「建物の所有を目的とする」ものといえます。

④ 本事案ではどうなるか

X建設(株)、Y自動車販売(株)に貸している土地は、両方とも、借地借家法が適用されないので、立退き料を支払う法的な根拠はありません。

X建設(株)に貸している資材置場
●判断根拠
仮設事務所などでよく利用されているプレハブユニットは、土地に固定されず移動や撤去も簡単に行えます。また、契約書で仮設建築物の構築のみ認め、しっかりとした「建物」を建築することは認めていないため、プレハブユニットは「建物」ではないと判断できます。
●回答
この資材置場は「建物」になりません。よって借地借家法が適用されないので、立退き料を支払う法的な根拠はありません。
Y自動車販売(株)に貸している中古車販売展示場
●判断根拠
現地の使用状況では、建物が対象土地のごく一部(約7%)のため土地全体の用途上サブ(従たる目的)にすぎません。また、契約書で土地使用目的を建物所有ではない「中古車販売」とし、賃料も建物所有を目的とする土地の周辺相場賃料と比較するとかなり安いため、「建物所有を目的とする賃貸借契約」ではないと判断できます。
●回答
この中古車販売展示場は、「建物の所有を目的とする賃貸借契約」になりません。よって、借地借家法が適用されないので、立退き料を支払う法的な根拠はありません。
⑤ 契約を終了するには(借主の主張に対して)

立退き料の支払いの問題もありますが、まず契約の終了原因があるかが重要です。「期間満了」や「解約」といった契約の終了原因がなければ賃貸借契約は終了できません。契約書を見ると、X建設(株)に貸している土地は、昔の契約書にしては珍しく期間内解約条項がありますので、解約により契約を終了させることができます。また、もし、用途違反(使用用途の契約違反)や、債務不履行(賃料未払いなど)があれば強制的に解除することができる場合もあります。

その後

相談の後、担当弁護士が代理人となり、X建設(株)、Y自動車販売(株)との交渉を進めた。
X建設(株)については、借地借家法の適用がないところを説明したところ、X建設(株)も顧問弁護士に相談したところ納得し、不動産にて近くに資材置場に適した土地を見つけたうえで、土地賃貸借契約を解除、明け渡しが完了しました。
Y自動車販売(株)との契約では途中解約条項がなかったため、1年更新の際期間満了時に更新を拒絶しました。しかし、Y自動車販売(株)とは交渉しても埒があかず、調停を申し立てました。調停の結果、早期解決のため相談者Aが移転費用として解決金50万円を支払い、明け渡しが完了しました。

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