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賃貸のお困りQ&A

後日判明した隣地建物の私道への越境に係る合意につき、仲介会社の調査説明義務違反が否定された事例

【ケース】

買主Xは仲介会社Y2の仲介にて、売主Y1(法人)との間で本件土地建物および本件私道部分共有持分3文の1につき不動産売買契約を締結し、引渡しを受けました。本件土地は位置指定道路である本件私道に面しており、隣地にはAが所有する3階建ての建物があり、2階と3階部分のベランダおよびその直下に当たる部分はコンクリートブロック塀で囲われ、本件私道に張り出して占有されていました。本件私道の幅員は本来4mであったものが、出口部分は2.5m程度に狭められていました。Xは購入の際、隣地建物の一部が私道に越境していることに係る合意はないと説明を受けていましたが、引渡し後、将来の改築まで越境容認する調停が成立しており、確認書も隣地所有者とY1らで締結されていたことが発覚しました。

XはAに対し、本件私道部分に越境している塀およびベランダ等の撤去を求める交渉を重ね、バルコニーの撤去は猶予するが、地上部分の塀等はXの費用負担で撤去することを合意し、撤去工事と舗装工事を行いました。

Xは不相当に高価での土地建物の購入、隣地建物の私道越境部分の撤去費用負担等を強いられたとして、Y1およびY2に対し、欺罔行為および説明義務違反の不法行為に基づき損害賠償請求を提起しました。

なお、本件土地および私道は物納を経てY1が所有し、居住はしていませんでした。

【解説】

裁判所は次の通りに判示し、Xの請求を全て棄却しました。

Xが主張する欺罔行為について、Y2は「越境の経緯は分からない。将来建て替えるまでは現状のまま」と述べ、またY1を通じて財務省にも問い合わせて回答しており、事後的には誤った説明ではあるが、調停等を知って説明したものではないから、欺罔行為には当たらない。またY1もその担当者が調停等のドン材を前提に取引を進めたものではなかったから、詐欺の故意がなく、欺罔行為には当たらない。

本件土地建物等の売買価格は、公道から本件土地への進入に支障があるとの現状説明の上で、斟酌して決定されたことが明らかであり、加えて、この支障を前提に、本件土地をY1が依頼した他の不動産会社による評価などをみると、本件売買価格は不当に高額とは言えない。

Xは前述の支障を認識し、Y2から越境の経緯が不明であり、さらに越境物の撤去が困難であると告げられていることに鑑みれば、買受後の本件私道部分の越境物の撤去に未確定の費用が見込まれることは、Xにおいて甘受すべきものであり、撤去に伴う工事費用は、Xの損害となるとは言えない(東京地裁 平成28年2月16日判決)。

【総評】

本件では、仲介会社および売主に欺罔行為がなかったこと、買主に損害もなかったとの判断から買主の損害賠償請求は棄却されたが、欺罔行為はなくとも、買主に損害が認められた場合には、損害賠償請求が容認された可能性があったと思われる。

越境というと、宅地部分の調査のみを意識しがちだが、私道隣接地所有者へヒアリングをするなどの入念な調査が必要だと思われる。

※(一財)不動産適正取引推進機構 実際にあった判例からを参照しています。

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