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2つの遺言をめぐり協議不調。家裁で遺産の全部について向こう2年分割禁止の審判

【ご相談】

2つの遺言が主張されて協議がつかず、家裁に遺産分割を申立てたところ、向こう2年間の分割禁止の審判でした。なぜですか?

法的安定性が害されるのを防ぐ

少し複雑ですが最近の実例で説明します。

A(大正6年生、女性)は昭和15年にDと婚姻、同年長男Bが誕生しました。Bは昭和41年にEと婚姻。両名間に昭和42年に長男X1、昭和44年に二男X2が誕生しました。

X1は平成7年にX3と婚姻。その後、平成10年にDが死亡しました。平成13年にはX2がCと婚姻しました。

Aは平成22年4月30日、姪のYと養子縁組しました。翌年11月18日には全財産をYに相続させる旨の自筆証書遺言(第1遺言)をし、次いでAは同年12月10日、全財産をBに相続させる、遺言執行者としてX1を指定する旨の自筆証書遺言(第2遺言)を行い、さらにAは平成24年3月29日、X1、X2、X3およびCとそれぞれ養子縁組しました。Bは翌年に死亡、Cは平成27年に死亡しました。

Aは平成28年に死亡し、X1、X2、X3が申立人となりYを相手方として遺産分割家事審判を名古屋家裁に申し立てました。申立人は「第1遺言は第2遺言で撤回されており、第2遺言はBがAより先に死亡したときはBの代襲者としてX1、X2に全財産を相続させる趣旨のものである」と主張しました(推定相続人先死の場合その代襲者に相続させる意思を有していたと見るべき特段の事情のない限り遺言は効力を生じない。(最高3小 平成23年2月22日判決>)。

Yは自己の相続分の50分の1を夫Zに無償で譲渡し、同人は参加を名古屋家裁に申し出て認められ当事者参加。YとZは「第2遺言はBがAより先に死亡したことで失効したから第1遺言は撤回されることなく効力を維持しており、全財産はYとZに承継される」と主張しました。なお、第2油井本により第1遺言が撤回されて失効し(民法1023条1項)、かつ第2遺言について特段の事情が認められないときは遺言が存在しない場合と同様、全財産は法定相続人全員(Y、X1、X2、X3)とZが承継するものと解されます。

名古屋家裁は(家事審判の判断は、遺言の効力等前提事実の判断について既判力(※)を有しないから、現時点で分割の審判をしても後に訴訟の判決が確定しこれに抵触するときはその限度で審判の判断は覆され法的安定性が著しく害されるが、申立人らが提訴準備中の第1および第2遺言の効力等に関する訴訟の結論が確定するまでには向こう2年程度を要すると見込まれるため)「令和3年11月7日までの間Aの遺産全部の分割を禁止にする(訴訟が早期解決の場合は取り消しまたは変更可)」との審判でした。

遺言の効力等が争われるケースは時に生じます。本件は民法907条2、3項による対処をしめしたもので、分割は遺言の効力等の訴訟の判決確定後に、という道筋の提示です(名古屋家裁 令和1年11月8日審判 判例時報2450・2451秋季合併号)。

※既判力とは、前の裁判における判断内容の後の裁判への拘束力を言います。

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