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騒音等について虚偽の説明をしたとして買主が求めた売主及び媒介業者に対する損害賠償請求が棄却された事例

中古戸建を購入した買主が、売主や媒介業者が、契約の際に虚偽の説明をするなどしたため、騒音や振動にさらされることになったとして、両者に対して不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、売主は騒音や振動に悩まされていたとは認められず、虚偽の説明をしたとは認めることはできないとして、買主の請求が棄却された事例(東京地裁 平成29年12月25日判決 棄却 ウエストロー・ジャパン)

1.事案の概要

売主Y1(被告)、Y2(被告)及びB(訴外)(以下、Y1、Y2、Bを併せ「Y1ら」という。)は、合計4車線の北側道路に接している2階建て建物(以下、「本物件」という。)に入居後、2階の北側、東側及び西側の各窓にシャッターを取り付け、居住していた。

媒介業者Y3(被告)から、本物件を紹介されたX1(原告)、X2(原告)及び2人の子である買主X3(原告)(以下、X1、X2、X3を併せ「X1ら」という。)は、いずれも、売買契約前に本物件を訪れ、状況を確認した後、平成25年9月、X3の代理人X1は、Y1らとの間で、売買代金3130万円とする本物件の契約を締結し、同年11月、引き渡しを受けた。

売買契約に先立つ重要事項説明において、Y3は、X1に、「本物件敷地の前面道路および周辺道路は、公道であり通り抜け可能であるため、不特定多数の歩行者や大型車両等を含む各種車両等が通行し、通り抜ける場合があります。また、それらの通行に伴い騒音および振動が生じる場合があります。」と記載した重要事項説明書の内容を読み上げ、交付した。また、Y2がY3に相談した上で、「⑮騒音・振動・臭気等」の欄に「無」と記載した物件状況等報告書(以下「報告書」という。)もX1に交付された。

その後、X1らが本物件に入居後、北側道路からの騒音及び振動が気になったため、平成28年10月に騒音の測定をした結果、本物件の屋外の等価騒音レベルは、昼間が67.6dB、夜間が64.3dBであった。なお、「騒音に係る環境基準について」(平成10年環境庁告示第64号)による環境基準値は、昼間(午前6時から午後10時間)が70dB以下、夜間(午後10時から翌日午前6時間)が65dB以下である。

X1らは、Y1らに対して、以下を理由として、損害賠償の請求を行った。

  • X1らは、騒音が受忍限度を超え、Y1らは、本物件にて耐え難い騒音及び振動に悩まされていたにもかかわらず、物件状況等報告書の「⑮騒音・振動・臭気等」の欄に「無」と記載しただけでなく、X1から騒音や振動について確認された際、「騒音や振動はない。生活音のみ。」と説明した。Y1らの行為は、X1らに対する虚偽説明として、不法行為に当たる。
  • Y3は、本物件を何度も訪れ、北側道路の状況を把握しており、かなりの騒音や振動が発生することを容易に認識し得たにもかかわらず、Y1らが「⑮騒音・振動・臭気等」の欄に「無」と記載した報告書を、X1に交付させたY3の行為は、X1らに対する虚偽説明又は説明義務違反にあたる。

2.判決の要旨

裁判所は、次のように判示して、X1らの請求を棄却した。

売主Y1、Y2の不法行為について

  1. X1らが測定した本物件の屋外での等価騒音レベルは、環境基準値を上回るものではなく、屋内の騒音レベルも明らかでない。また、同時に振動レベルも測定しているが、直ちに、売買の当時、Y1らが本物件における騒音や振動に悩まされていたと認めることはできない
  2. X1らは、Y1らが、本物件が揺れるという相談を近隣の者にしたり、本物件2階の北側、東側及び西側の各窓にシャッターを取り付けたり、騒音や振動に関する署名を集めて市役所に提出していた旨主張するが、X1の供述は、本物件の近隣の者が平成18年に署名を集めて提出した旨を近隣の者等から聴き取った旨にとどまり、Y1らが近隣に相談したり、騒音や振動に関する署名を集め、市役所に提出したと認めるに足りる証拠もない。
  3. Y1らは、X1に対し、売買の際、「⑮騒音・振動・臭気等」の欄に「無」と記載した報告書を交付したが、売買の当時、Y1らが本物件における騒音および振動に悩まされていたとは認められないし、X1らはいずれも、売買の前に本物件を訪れて状況を確認しており、騒音や振動の有無・程度等を認識することもできたことから、報告書が交付されたことで、Y1らが虚偽の説明をしたものと認めることはできない。
  4. X1らの、売買の際、契約書への署名押印に先立ち、Y1らがX1に「騒音や振動はない。生活音のみ。」との主張も、裏付けとなる証拠はなく、採用することができない。

媒介業者Y3の不法行為について

また、Y3は、売買の際、Y1らがX1に、「⑮騒音・振動・臭気等」の欄に「無」と記載した報告書を交付したことを認識していたが、本物件の前面道路を不特定多数の歩行者や大型車両等を含む各種車両等が通行し、騒音および振動が生じる場合があると記載した重要事項説明書を交付し、これを読み上げたこと、また、X1らはいずれも、売買の前に本物件を訪れて状況を確認しており、騒音や振動の有無、程度等を認識することもできたことから、報告書が交付されたことで、Y3に虚偽説明又は説明義務違反があったと認めることはできない。

3.まとめ

本事案は、買主が、売主が物件状況等報告書の「騒音・振動・臭気等」の欄に「無」と記載したこと、媒介業者が同記載を容認したことを主な根拠として、売主及び媒介業者に対して、虚偽説明や説明義務違反による損害賠償請求を行ったものである。

本事案は、そもそも、売主が騒音や振動に悩まされていたと認めることができない事案でもあり、売主及び媒介業者の虚偽説明や説明義務違反の責任は問われなかったことは妥当と考えられるが、騒音・振動・臭気等については、後々のタラブルを避けるためにも、売主及び媒介業者は、それぞれ、物件状況等報告書及び重要事項説明書に、客観的な内容を記載することが必要である。また、万一、物件状況等報告書と、重要事項説明書の重要事項説明書の内容に齟齬が生じている場合には、媒介業者は、適宜、記載内容の整合性が図られるよう調整に努めることが望ましいであろう。

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