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相談者
貸主のXから、賃貸借契約の切り替えの相談を受けています。
今回ご相談をいただいているマンションは、築40年ほどの鉄骨造の建物なのですが、最近は賃料もあまり取れなくなってきたため、Xはこのマンションを取り壊し、新たにテナントビルを建てたいと希望しています。
そこで、更新のタイミングで借主の方に、賃料を減額したうえで、普通賃貸借契約から定期借家契約に切り替えてもらえないかとご相談をさせていただいていたのですが、賃借人の一人の方から、定期借家契約に切り替えることはできないんじゃないかという指摘を受けています。
この方の言うように、普通賃貸借から定期借家契約に切り替えることはできないのでしょうか。
以上の通り、平成12年3月1日以前に普通賃貸借契約を締結した住宅の場合については、定期借家契約への切り替えはできません。では、定期借家契約という方法ではなく、他の形での合意ができないでしょうか。
考えられるところとしては、
1.明渡猶予期間付合意解除
2.期限付解約合意
という方法があります。とはいえ、これらの方法も貸主にとって都合のよいものではないので注意が必要です。
① 明け渡しの猶予期間、または期限付合意解約では解約までの期間を、長くても1~2年程度にとどめた方が有効となりやすい。
② 明渡猶予期間付合意解約であれ、期限付解約合意であれ、普通借家契約を合意解約により終了させることについて、賃借人に十分に説明して理解してもらったうえで、任意かつ真摯に合意してもらう。
③ 合意書面の作成。
① については、明渡猶予期間付合意解約との関係では、猶予期間が長くなればなるほどその期間が借家契約と見られてしまう可能性が高まります。
また、期限付解約合意との関係では、不確定な将来の事情を理由に前もって解約合意をするわけですから、解約の効力発生時期が先になればなるほど不確定の程度が強まり、前もって解約合意をする合理性・正当性が失われていきます。
② については、将来紛争となるリスクを減少させるためには、合意をする際に賃借人に納得してもらうことが何よりも重要といえます。
③ については、合意内容を証拠化する趣旨です。適正かつ正確な書面作成を心掛ける必要があります。
以上のとおり、明渡猶予期間付合意解約または期限付解約合意は禁止されているわけではありませんが、気をつけて合意を締結しないと後々に紛争になり、さらには裁判で無効とされてしまうこともありますので、注意しましょう。
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