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山林の宅地開発事業に対し、周辺住民がまちづくり権に基づき、工事差し止めを提訴

【ご相談】

最近、私の住んでいる市で、まちづくり権についての訴訟があったと聞きました。まちづくり権とは何ですか?

認定には社会的行為としての相当性を欠くことが求められる

まちづくり権とは、憲法第13条に由良する人格権が具体化したものとして住民が自らの住む地域のあり方を自ら決定する権利を表す学説上の用語です。

先例は一連の国立景観訴訟で、例えば同事件の東京地裁平成14年12月18日民事訴訟の一審判決は、景観権ないし景観利益に基づく妨害排除として高さ20mを超える建物部分の撤去を命じました(控訴審と上告審で逆転して棄却)。

上告審の最高裁一小 平成18年3月30日判決は、景観利益について「良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を日常的に享受している者は、良好な景観が有する客観的な価値の侵害に対して密接な利害関係を有するものというべきであり、景観利益は法律上保護に値する」と付言しましたが、権利性は否定し侵害を限定して棄却しました。

それでは本件訴訟の経緯について説明しましょう。

H県N市T町に所在する山林5筆合計4万300m2は、一団の土地で、平成27年1月、住宅地の企画・設計・施行・開発業務を行う会社Yが一括購入。平成28年2月、Yは条例に基づきN市長に開発事業概要書を提出しました。次いで平成29年7月、同市長に工事施行者Z、開発区域4万300m2、予定建築物等の用途:戸建住宅72戸、集合住宅用地1の開発許可申請を提出。同年9月21日、N市長は工事施行中の土砂の流失等が生じないよう防災措置を講じることを条件にYの申請を許可しました。同月26日からYZは工事を開始しました。

同年10月、一部の住民がN市開発審査会に開発許可取消しを求めて審査請求をしましたが、平成30年3月20日、審査請求は棄却(一部却下)されました。

他方において、平成29年9月、一部住民がN市に対し開発許可取消の行政訴訟を神戸地裁に提訴。平成29年7月、周辺住民32名が原告となり被告YZに対し、開発工事差し止め等請求の本件民事訴訟を神戸地裁尼崎支部に提訴しました。

原告らは、「被告らは別紙各土地において開発工事をしてはならない」、予備的に「被告らは原告に対し連帯して原告ら一人あたり160万円およびこれに対する年5分の割合による金員を支払え」とし、被告らの開発工事が原告らの有するまちづくり権、自然文化環境享受権、平穏生活権等の権利ないし法的利益を侵害しまたは侵害するおそれがあると人格権に基づく工事の差止め、予備的に共同不法行為の損害賠償を請求。被告らは原告ら主張の法的ないし法的利益を争い、侵害もないと反論しました。

裁判所は「まちづくり権は法的権利として認められるほどに客観的に認知されているとは言えず、具体的内容についても権利性を肯定し得るほどに明確とは言えない」と権利性を否定し、利益性は「事業主ないし施工業者との関係で法的利益とまでいうことはできない」「違法な侵害とは、刑罰法規または行政法規等に違反するものであったり態様や程度が社会的に容認された行為としての相当性を欠くことが求められる」(最一判参照)と、請求をいずれも棄却しました(神戸地裁尼崎支部 令和1年12月17日判決 判例時報2456号)。

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