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後見・保佐開始が任意後見より優先されたケース

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知人は任意後見の公正証書契約を結び、登記もしたのに後から親族が後見を申立て後見開始となったそうです。こうした場合、自己決定の任意後見が優先するのではないでですか?

本人の保護を総合的に判断

任意後見契約法は本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り後見の審判等をすることができる(10条1項)と例外を設けています。最近の2つの判例を参考に、「特に必要」とは何かを学習しましょう。

[事例1]

事件本人Cと妻Eは、平成1年9月5日、(Eの弟の子)Aと養子縁組。Cはさらに平成28年10月12日(弟Fの子)Iおよび(兄の子)Gと養子縁組をしました。証人はB弁護士です。

CはBと平成29年12月21日、公正証書で任意後見契約を締結し22日に登記しました。Cは令和1年5月10日付診断書で後見相当と記入された直後(5月13日)に1000万円をGに、500万円をFにそれぞれ寄託する契約を締結しました。同年6月19日、Cの口座から1500万円が引き出され、外に360万円の引出しがありました。

Aは平成31年4月11日、Cに後見開始の申立て(甲事件)を、Bは令和1年7月13日に任意後見監督人選任の申立て(乙事件)をそれぞれ家裁に提出しました。家裁は寄託契約の締結と引出しの事態に「今後もCが財産上の契約をする可能性があるところ、同意権、取消権のない任意後見制度ではCの保護の万全を期し難い。自己決定尊重を考慮しても後見の開始が本人の利のため特に必要である」と、平成2年3月9日審判で後見開始を命じ、後見人に中立の弁護士を選任し、乙事件を却下しました(水戸家裁 令和2年3月9日審判(後見) 判例時報2490号44頁)。

[事例2]

夫(開業医)は妻(精神科医師)と昭和×年に婚姻し二女一男をもうけましたが、長男は平成×年に死亡しました。夫は平成17年頃強い焦燥感、家族への攻撃性が見られた時期を経て、20年頃抑うつ的になり、抗うつ薬を服用。平成24年4月頃、暴言・易怒性・多弁・不眠・生保に過重加入・過大設備投資等浪費の躁状態を呈し、また業務遂行能力が落ち、同年7月10日から平成25年4月25日××病院に医療保護入院をしました。

翌年8月まで通院しましたが、家族に対する攻撃的言動を継続。夫の医院は閉院し、その後〇〇クリニックに通院しました。

平成29年1月2日、妻の首を絞める暴行に及び××病院に医療保護入院。翌年1月15日以降は任意入院となりました。妻は令和1年9月30日、夫について広島家裁に保佐開始の申立てをし、家裁は夫の長年の主治医Xを鑑定人に指定しました。Xは「双極性感情障害で現在は寛解状態であるが躁病相は激しいものであり将来再び激しい躁状態を呈する可能性を否定できず、総合的に考えると支援を受けなければ契約等を自ら判断する事はできない」という鑑定でした。

家裁は令和2年1月、保佐の開始と保佐人に次女を選任する審判。平成2年1月17日、夫が即時抗告しました。

同年5月7日、夫は実兄と任意後見公正契約を結び同月11日に登記。広島高裁はX鑑定に高い信用性を認め、令和2年8月3日決定で「民法13条1項各号(保佐)の行為について同意権、取消権の保護を特に必要とする」と夫の抗告を棄却しました
(判例時報2495号63頁)。

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