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賃貸のお困りQ&A

判断能力の低下した高齢者との取引が事業者の不法行為に当たるとされた事例

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数十年来の知人に勧誘された高齢者が、8年間で合計5492万円余の過量かつ不必要な宝飾品の購入を余儀なくされた事件について、詳しく教えて下さい。

事業者は取引を中断すべき注意義務を負っていた

超高齢社会では(規模の大小はあっても)身近に起こり得る事案です。以下で経過を追って説明しましょう。

X(昭和7年生)は、同じ歳の妻とS県の自宅で自立した生活をしていました。収入は、不動産の賃貸収入が年に数百万円(手取り)と年金約150万円でした。妻は平成20年9月、要介護3の認定を受けショートステイを利用するようになり、平成25年6月には介護老人保健施設に入居しました。

平成21年12月、Xの子Aは両親の支援のためにX宅の離れに転居。一方Xは、平成21年頃から平成28年の途中まで、ほぼ毎日朝早く家を出て旧知の女性C宅を訪れ、夕方または夜までC宅に滞在後、帰宅するという生活を続けました。また、その間C所属の販売会社Yから宝飾品、時計等を繰り返し購入し、合計約5492万円を支払っていました(CはYのX担当販売員)。

AはXの不動産賃貸事業に専従し、その収入から給与を受領。Xは平成21年~27年の間に5回不動産を売却しましたが、Aは不動産事業者の要請でその都度契約に立ち会いました。

平成28年9月15日、Xは精神科を受診。長谷川式簡易知能評価スケールで14点(20点以下で認知症の疑い)、同月下旬実施のMMSE(※)で14点(23点以下で認知症の疑い)という結果で、同年12月24日、アルツハイマー型認知症および脳血管障害の診断を受けました。

平成29年2月22日、Aの申立てでXは家裁から後見開始・成年後見人Aの審判を受けました。Aは、C所属の販売会社Yを提訴。判断能力が低下した高齢者Xに過量かつ必要のない宝飾品等を繰り返し販売した取引は不法行為を構成する、と平成21年~28年の売買代金5492万円余と弁護士費用の賠償を請求。YはXの判断力低下を争い強要を否認しました。

東京地裁は、MMSEではアルツハイマー型認知症の場合1年当たり3.3~3.4点ずつ点数が減少すると解するから、Xは平成25年12月頃には23点程度に減少していた蓋然性が高く、高額な取引に必要な能力はすでに低下していたと推認。Yの「XはY主宰の旅行にも一人で参加しており能力の低下はない」との抗弁を「企画旅行の参加能力と高額な取引の締結能力とは程度が異なる」と退け、「X担当のCは取引以外に日常生活でもXと密接な関係にあり、またYの店長Dは取引の場で直接Xと接しており、CとDはXの判断能力の低下を容易に認識し得た」と認定。事業者であるYは信義則上、本件取引をいったん中断すべき注意義務を負っていたと不法行為の成立を認め、Aについては平成21年末にX宅内に転居しながら平成28年3月までXの本件取引を認識せずXの損害を拡大させたと被害者側過失3割を認定して相殺。平成25年12月以降の売買代金の7割と弁護士費用合計1260万円の賠償を認容しました(東京地裁 令和2年1月29日判決 判例時報2503号33頁)。

(※)国際的に用いられている認知機能障害のスクリーニング手法

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