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賃貸のお困りQ&A

建物の耐震性能不足による賃貸借契約終了が否定され、反対に賃借人の原状回復未了に伴う賃貸人の違約金請求等が認められた事例

【ケース】

東京都a区内のビル(昭和55年築・本件建物)の1階および2階部分(本件店舗)について、平成12年1月、賃貸人Y(不動産賃貸業)と賃借人X(飲食業)との間で賃貸借契約(本契約)が締結され、Xは本件店舗で喫茶店営業を始めました。その後、本契約は条件を変更しつつ、数回に渡り更新されました

平成25年10月、Xは本件建物の外壁の一部に崩落の恐れがあると認識し、店舗を休業してその対応工事を行い、その後、本件建物を調査したところ、塗装剤・外壁タイルおよびモルタルの剥離、雨漏り等(各事象)が判明。Xは、Yに本件建物の修繕と耐震診断の実施を求めましたが、Yはこれに応じませんでした。

平成26年3月、XはYに、平成25年10月以降本件店舗は本件建物の歪みや耐震強度不足により使用不能になっており、同月末日をもって本契約は当然に終了しているとして、同年11月から翌年3月分までの既払賃料の返還を求めましたが、Yはこれを拒みました。

成26年5月、XはYに対して、本件店舗をその現状のままで鍵を返還し、その後、既支払賃料と保証金の返還を求めて提訴。一方Yは、X指摘の各事象は、Xの看板設置等により生じたもので、本契約は平成26年3月に終了したが、Xは本契約上の賃借人の義務である原状回復をせず、平成27年2月までの間にYの負担でこれを行ったとして、保証金控除後のその工事費用および明渡遅滞による遅延損害金の支払いを求めて反訴をしました。

【解説】

裁判所は、次の通り判示し、Xの請求を棄却し、Yの請求を一部認容しました。

  1. 本件建物は、平成25年10月時点でX指摘の各事象が生じていたとは認められるが、これらはXの看板設置と無関係とも、修補できないものとも認められない。また、旧耐震基準の建物であることで、直ちに本件店舗の安全な使用が不可能になるともいえず、Yが本件建物の安全性の証明義務を負っていたとも解せない。よって、Xの既払賃料返還請求には理由がない。
  2. Xが本契約の解除申入れをしたのは、平成26年4月の解され、本契約の定めによればXはその日から6カ月分の賃料相当額の支払い義務を負う。また、本契約はその解約申入により終了したが、Xは本契約に定める原状回復義務を怠ったまま退去しており、Yの請求のうち通常損耗を除いた部分の支払義務を負う。
  3. Yが行った工事には、Xの原状回復義務に当たらないものもあるが、これにより工事が長期化したとは認められず、工事が完了した平成27年2月にXが明渡しをしたと捉えられる。よって、Xは、Xの解約申入により本契約が終了した平成26年9月から翌年2月までの遅延損害金の支払義務を負う。

従って、Yの損害額とXの保証金返還請求権の相殺後残額について、Yの請求を認容する(東京地裁 平成29年11月28日判決)。

【総評】

本事例同様、賃借人が耐震性能不足を理由とする契約解除を主張し、一方的に退去したことにより、契約の定めに基づく違約金等の支払いが命じられた事例は他にも見られるので、注意が必要です。

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