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亡Aは亡Bに対し、昭和37年7月16日、木造平屋建ての本件建物につき、賃貸借契約を締結し、引き渡しました。
その後、貸主の地位は個人である原告Xに借主の地位は被告である個人Yら(親子)に相続されました。
本賃貸借契約は、昭和43年7月15日以降、法定更新が繰り返され、平成15年2月分以降、月額賃料は9万2000円となりました。
Xは、本件建物は、建築後60年以上が経過して老朽化し、現在の耐震基準を満たしていないと考えられ、現況および性能を客観的な方法で調査し、修繕または建替えの要否を認識・判断する必要があるとし、民法第606条2項に基づき建物内への立入りを、Yらに求めました。
Yらは、民法606条2項の保存行為は、同条1項の貸主の修繕義務を前提とするものと解されるところ、Xが求める耐震診断ないし現況調査は修繕義務の内容には含まれず、貸主は借主に対して耐震診断を含む現況調査を求めることはできないなどと主張し拒絶したことから、Xは本件を提訴しました。
裁判所は次のように判示し、Xの請求をすべて認容しました。
耐震診断を含む現況調査は、民法第606条2項に規定する保存行為に当たるとされた判断は、実務において参考になると思われます。
一般的な賃貸借契約書には、管理上特に必要な場合、貸主に立入権があることが特約として明記されていることが多いですが、法律的な整理としても、民法第606条、第607条は押さえておきたいところです。
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