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推定相続人の主導で作成された秘密証書遺言が無効とされた事例

【ご相談】

跡取り息子が周到に準備し、老母につくらせた秘密証書遺言が裁判で無効になったと聞きました。詳しく教えてください。

※秘密証書遺言とは
遺言部分は遺言者が自由に書いて(ワープロソフト可)、それに署名押印をして封をし、封をしたところに押印する、遺言者がそれを公証人1人と証人2人以上の前に提出して、自分の遺言書であること、筆者の氏名および住所を申述する。公証人が証書が提出された日付と遺言者の申述を封紙に記載し、遺言者、証人、公証人が署名押印するもの。

◎秘密証書遺言は立証が困難な場合も

A(大正12年生まれ)はBと婚姻し二男一女をもうけ、平成13年にBを亡くし、平成21年10月に死亡しました。法定相続人は子供3名です。Aは秘密証書遺言(平成19年2月28日付)を残し、長男の申立てで平成22年1月26日に東京家裁立川支部で遺言書を検認。長男は遺言に基づき不動産の移転登記手続きを行いましたが、平成25年に二男と長女(原告)が長男と遺言執行者Y(被告)に対し遺言無効確認等訴訟を提起しました。

遺言証書はワープロソフトを使用して作成されており、細かい印刷文字でA4判用紙4枚に112行の本文(英文表示を含む)とAの署名押印があります。内容は①企業体と株式会社の出資金および株式は各3分の1の割合で3名に、②企業体2社の経営権を長男、株式会社2社の経営権を二男が各承継、③兄弟は長女に経済的配分を行う、④祭祀主催者は長男、同人に本件土地所有権と建物持分2分の1を相続させる、⑤敷地権付区分建物を二男に相続させる、⑥Y(税理士法人代表者兼行政書士)を遺言執行者に指定、⑦上記以外の財産は相続税の納税原資として各3分の1の割合で3名が相続、⑧3名がAより先または同時に死亡した場合の対処、です。

原告は「遺言書におけるAの署名は自書ではない」「自書であったとしても遺言当時認知症が進行しており、遺言能力はなかった」と主張しました。

判決は「検認手続きにおいて原告らは『遺言者の字だと思います』と陳述しており、また公証人の面前で書かれた証書の封紙部分の署名と比べても相当数と特徴的事項が合致」し「署名はAによってなされたものと認めるのが相当」と判示しました。また、遺言能力については「Aは消化器内科に入院し、C型慢性肝炎、糖尿病の診断後も通院を続けたが、その間長男の希望で平成19年6月1日同院の認知症外来を受診し、進行した認知症と診断された」「鑑定人も『数年前に発症。平成17年以降急激に進行し、遅くとも平成19年1月の時点においては進行した認知症であった』と鑑定した」「長男が遺言の原案を作成しYに伝える→Yはそれを遺言の形式に整えて長男に送付する→同人はそれをAに見せて説明しAが遺言案に意見を述べる→長男が意見を踏まえて遺言を修正しYに送付」するという手順で「長男がAや原告らの立場を忖度した上で自ら主導し、Yに相談しつつ策定したものと評するほかない」「遺言時点でAが遺言能力を欠いていたものと認めることができる」と判示し、本件遺言の無効確認および更生登記手続きを認容しました(東京地裁 平成29年4月25日判決 判例時報2354号)。

秘密証書遺言(民法970条)は本文の自書が要件でなくワープロ等印刷で作成でき、証書を封印後に公証人らに提示するまで秘密も保てますが、検認の必要と公証人が内容を確認していないので、効力が争われた場合の立証が難点です。

【総評】

建物の瑕疵につき、売主の瑕疵担保責任、告知義務違反は否定されたが、建物建築会社に対する損害賠償請求が認められた事案である。

不動産取引の専門家としての仲介会社においては、建物傾斜に関する紛争回避として、物件状況等報告書・設備表等に、売主が気付いた現象を詳しく記載するよう促すともに、建物内覧において、自ら傾斜により発生する現象に注意を払い、万一、懸念点が見受けられれば、建物インスペクションの実施を勧めるなど、紛争の未然防止を図る責務があることに留意いただきたい。

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