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投資用マンションの売主が買主に請求した代金の20%相当の違約金のうち、10%相当のみが認められた事例

【ケース】

宅建事業者であるXは、会社員であるYと、平成28年9月4日、代金を2180万円とするマンションの売買契約を締結しましたが、同月30日、Yは、契約解除通知書をXに交付し、Xと、「買主は違約金として436万円を支払うこととする。支払期限は平成28年10月31日までとする」などの記載のある契約の解除に関する覚書を取り交わしました。

しかし、違約金の支払期限が経過してもYは違約金を支払わず、Xは、Yの契約違反により売買契約が解除されたとして、Yに対し、違約金436万円およびこれに対する延滞損害金の支払を求めて提訴しました。

これに対してYは、「Xの担当者Aは、早朝にYの社員寮に押しかけ、退去すべき意思を表示しても退去せず本件売買契約の締結を迫り、Yは契約条項の詳細な説明を受けないまま署名押印することを余儀なくされた。本件売買契約を、消費者契約法4条2項および同条3項1号に基づき取り消す」などと主張して争いました。

【解説】

裁判所は、次の通り判示し、Xの請求を一部認容しました。

  1. Yは、投資用のマンションをすでに3件所有しており、「事業としてまたは事業のために」本件売買契約の当事者となったというべきであり、消費者契約法2条1項の消費者にあたらないと解される。
    また、Xの担当者Aが、不利益となる事実を故意に告げなかったと認めるに足りる証拠はなく、Yが退去すべき意思を表示したにもかかわらず、Aが退去しなかったとの事実を認めるに足りる証拠もない。
    従ってYは、消費者契約法4条2項、同条3項1号に基づいて本件売買契約を取り消すことはできない。
  2. Aとその上司は、契約締結日の午前7時前にYの社員寮を訪れ、20分弱で本件売買契約書の作成と重要事項説明を行ったというのであり、このような本件売買契約締結の経緯は、買主であるYに慎重な検討と判断をさせるための配慮を著しく欠くものであったといわざる得ない。
    また、本件においては、手付金の授受がされず、手付解除についての取決めが曖昧にされており、Yは手付解除の可否について検討や交渉を思いつくこともなく、融資申込手続を懈怠するという契約不履行に及んでしまったものといえる。
    さらに、本件解除通知書が作成された2カ月後に本件物件は第三者に売却できていること等から、Xに実際に生じた損害は比較的軽微なものであったと推認することができる。
  3. XがYに請求できる額は、信義則上、売却代金の1割に相当する218万円と認めるのが相当である(東京地裁 平成31年1月11日判決)。

【総評】

本判決は、売買契約に至る経緯等から、買主に違約金を約定どおり(代金の20%相当)負担させることは公平性を損なうなどとして、代金の10%相当に減額したものです。

本件では、違約金の額を減額した理由として、売主担当者の、買主に慎重な検討と判断をさせるための配慮を著しく欠く対応や手付解除についての取決めが曖昧にされていたことなどが挙げられており、実務においても留意する必要があります。

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