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賃貸のお困りQ&A

隣地賃借人から売買土地に賃借権があると主張され、売買契約が違約解除になったとして、売主が隣地賃借人らに対して求めた損害賠償請求が棄却された事例

【ケース】

賃貸人Y2は平成26年12月頃、賃借人Aへの賃貸土地(土地1)を、Aの借地権付建物売却に合わせ、分筆し売却することとしました。なお、媒介は宅建事業者Y3が担当しました。

賃借人Y1が、Y2より賃借していたAの隣地(土地2)は、Y1の親が昭和25年9月以前に賃借し、平成3年に借地面積を25坪として賃貸借契約書を作成し更新した後、Y1の姉が相談して平成11年に建物を建築後、Y1が相続し、平成22年に前回同様の内容で契約書を作成し更新していましたが、Y1は同建物に居住したことはありませんでした。

なお、Y1の姉は、東側道路の中心線から2mまでの借地部分を区道に編入(セットバック)する旨の承諾書と、南側私道部分についての承諾書を区に差し入れていました。

平成27年5月、分筆のため、既設杭K8の他、K11、K21、K22を新設したところ、Y1は、4点で囲まれた部分(係争部分)も借地部分であるとして測量のやり直しを求めましたが、Y2は、境界部分はK21とK22を結ぶ直線として分筆登記をし、その後もY1の要求に応じませんでした。

宅建事業者Xは、土地1を取得後、平成27年7月、買主Bと同土地を代金2580万円で売買する契約と建築請負契約を締結しましたが、その後、Y1からの申入れで境界紛争を知ったBとの間で違約金等258万円余を支払い、契約を違約解除し、建築下請会社にも解決金84万円を支払いました。

Xは、Y1に不法行為による損害賠償を、また、係争部分に賃借権が存する場合、Y2とY3に損害賠償を求め提訴し、原審は、Y1への342万円の損害賠償請求を認容したため、Y1が控訴しました。

【解説】

裁判所は、次の通り判示し、Xのいずれの請求も棄却しました。

  1. 賃借権の設定時は、建築基準法の施工前のためセットバックの義務はなく、更新時の契約書にも、敷地にセットバック部分の有無の記載はないが、Y1の姉が区に承諾書等を差し入れており、賃借権は同部分を除かず設定されたと推認できる。さらに、本件土地2の地積が同部分を含みほぼ25坪であり、また、係争部分に存するA設置の壁等について紛争もなかったことから、係争部分での賃借権の存在は認定できず、Y1の主張は採用できない。
  2. 原審では不法行為とされたY1の行為は、土地賃借権の範囲に関する紛争当事者の交渉の在り方として社会通念に照らして逸脱した点があるとまでは認め難く、不法行為に該当するような違法性を有するとまで認めることは困難である。また、XのY2、Y3に対する主張は、理由がない。

【総評】

賃借権の設定時期からかなり経過し、契約当事者が代替わりした土地の賃貸借においては、賃借権の範囲等で紛争となることがあり、本件はまさしくそのケースです。媒介事業者が賃借権付土地やその隣地の取引の媒介をする際、賃借権設定時から取引に至るまでの経緯をしっかり確認し、利害関係者に説明をしておくことが重要であることを認識させる裁判例と言えます。

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