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賃貸のお困りQ&A

包括遺贈後、その登記前に遺留分減殺請求がされた場合の法律関係

【ご相談】

遺贈を原因に移転登記手続等をした遺言執行者に、受遺者、その代理人、遺留分権利者らが不法行為として賠償請求をした話を聞きました。どんな事案ですか?

登記による損害は相殺で消失

前提事実から確認しましょう。

昭和50年3月24日、AはBと養子縁組。平成20年10月15日、Aはアルツハイマー型認知症と診断され、その後、後見開始の審判。同月30日、「財産全部を甥Xに遺贈する、遺言執行者にY司法書士を指定する」と公正証書遺言をし、平成28年3月19日に死亡。

翌月18日発信でB代理人弁護士HからX代理人弁護士Zに、Aの包括遺贈に対し遺留分減殺請求がありました。同日、H弁護士は書簡でYに、自身がB代理人に就任したことを告げ、遺言は有効性に疑問があるとして執行の留保を求め、遺言が有効であれば遺留分減殺請求をすると申述。

5月18日、ZはYに移転登記は当分留保するようにFax送信しましたが、翌月14日、Yは本件不動産につきXの印章を冒捺し、平成28年3月19日遺贈を原因とする所有権移転登記を経由(登記免許税7万7900円)。6月20日、YはX名義で遺産全部取得の相続税申告書を作成しS税務署長に提出。納税義務者Xの相続税207万5100円をAの財産から納付しました。

同月22日、XはYに対し、「XやZの意向を無視した違法行為である」と辞任を求めFaxを送信。同月27日、ZがYを訪れ執行者辞任を求めましたがYは拒否。Xは7月7日、Z他二名を代理人とし山口家裁S支部に遺言執行者解任を申立。一方Yは、8月5日弁護士会にZらを遺言執行妨害で懲戒請求を申立て、平成29年1月4日、山口地検S支部検察官に辞任強要でZを告訴しました。

同年7月下旬、山口地裁に原告XおよびZ、被告Yの不法行為による賠償請求控訴が提起(Bは請求債権をXに譲渡しYに通知)されました。Xは、Yが制止を無視しXの印章を冒捺して移転登記手続をとり、登記免許税相当額の損害をこうむった、また税務でB取得の修正申告を要し、この税理士費用78万円余を支払う損害を負ったので弁護士費用10万8000円を加算した合計額からYの執行者報酬50万9000円(家裁決定額)を対当額で相殺し、不法行為の損害賠償として46万2600円の支払いを求めました。ZはYの懲戒請求および告訴で違法に名誉等権利利益を侵害された慰謝料100万円および弁護士費用21万6000円の合計額の支払いを請求しました。

山口地裁は、YのXおよびZに対する不法行為の成立を認め、弁護士費用を減額した外残額全部を認容し、Yが控訴。二審の広島高裁は、「一審原告Xの請求をいずれも棄却する」と一新判決を一部変更し、税の修正申告は不法行為の有無に拘わらず行う必要があり、その税理士報酬は本件損害に当たらない、登記による損害(免許税の半額)は不法行為を構成するが相殺で損害額が消失した、と請求を棄却しました。また、Bに対しては相続を原因に被相続人から直接移転登記を受けることができるとの解釈を記載した文献はあるが登記の先例の存在を認めるに足りる証拠がなく権利変動の過程や原因を反映するものではないとして登記ができなかった可能性を否定する事ができない、と不法行為の成立を否定しました(山口地裁平成30年3月8日判決、広島高裁平成31年3月14日判決 判例時報2474号。)

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