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買主Xは平成20年6月10日、不動産会社Aを通じて、売主Yと本件不動産について、代金を2億円として、以下の内容で本件売買契約を締結し、Yに手付金として1000万円を支払いました。
①融資承認取得期日である平成26年6月27日までに、買主が融資の全部または一部の金額につき承認が得られないとき、または否認されたとき、買主は、売主に対し、契約解除期日である平成26年6月27日までであれば、本件売買契約を解除することができる(17条2項:融資利用特約)、②買主は、融資が否認された場合、融資申込先から否認を証する書類を取得し、売主に通知するものとする(別紙特約5条2項)。
Xは、本件売買契約締結後、B信用金庫に融資の申込みを行いましたが、同年6月26日、B信用金庫からの融資が否認されたとの連絡を受け、同信用金庫の担当者の作成した、融資が否認されたことが分かる書面(本件回答書)を受領しました。
同月27日、AはYの事務所を訪れ、Yに対し、Xは本件売買契約を解除すると伝え、本件回答書をYに提示しました。
XはYに対して手付金の返還を求めましたが、Yはこれに応じなかったため、手付金の返還等を求めて提訴しました。
裁判所は次の通り判示し、Xの請求を認容しました。
よって、融資の否認を証する書類の提示が、本件融資利用特約による解除の要件であるとするYの主張は理由がない(東京地裁 平成28年4月14日判決)。
本件では、金融機関の担当者が作成した書面は融資申込先からの融資の否認を証する書類であるといえるとされており、上記(2)のような判断も示されています。ただし、実際では同種の書面が作成されないこともあり、本事例も参考の上、慎重な対応が望まれます。
なお、ローン特約をめぐるトラブル防止のため、申込金融機関や融資条件等は具体的に約定し説明しておく必要があることは、従来から指摘されているところです。
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