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買主事業者には売主が抵当権抹消できるかどうかを確認する義務があるとした売主の主張が採用されなかった事例

【ケース】

宅建事業者Xは平静28年2月、Yが所有する投資用マンション一室を1200万円で買受ける売買契約を締結し、手付金10万円をYに支払いました。

Yは、売買契約後に、ローンの抵当権者である銀行に本物件売却代金によりローン残債務を返済することを条件に抵当権解除を申し入れましたが、残債務と返済額の差が大き過ぎるとして同意を得られなかったためXに対し、銀行が抵当権の抹消に応じないため、錯誤により本件契約は無効であるとした通知書を送付しました。

これに対してXは、Yが物件引渡し期限の5月31日までに所有権移転登記手続をしない場合は、契約を解除し、YがXに対して違約金240万円および受領済みの手付金10万円を支払うべき旨を通知しましたが、Yは、Xに通知することなく本物件をXとの売買価格より高値で第三者に売却してしまいました。

Xは、本件契約を解除したとして、Yに対して、本件契約の違約金条項に基づく違約金240万円と支払済の手付金10万円の計250万円の支払いを求めて提訴しました。

【解説】

裁判所は、次の通り判示し、Xの請求を全額認容しました。

  1. Yは、Xは宅建事業者であるから、Yとの契約前に抵当権の存在と内容を調査し、抵当権者である銀行に抵当権を抹消できるかどうかを確認し、抹消の条件を伝えた上で本件契約をすべきであったのに、この義務を怠ったから、本件違約条項は効力がないと主張する。しかし、XはYに対し、抵当権が設定されていることを説明しているし、Xが宅建事業者であるからといって相手方の取引先の金融機関に対して問合せを行う義務を当然に負うとはいえない。
  2. また、Yは、XとYの間には、本件契約について、銀行が抵当権抹消を承諾することを停止条件とする合意、または、銀行が抵当権抹消を承諾しないことを解除条件とする合意があった旨、主張する。しかし、Y自身、抵当権者が抹消に応じないことは想定していなかったと供述しており、銀行が抵当権の抹消に応じなかった場合についての条件をXとの間で合意していたことは考え難い上、本件契約書には、売主が本件建物の所有移転時期までに負担を消除することが明記されており、Yが、自分の資金と親の支援で住宅ローン債務を完済し、本件建物の抵当権を抹消する旨述べていたことからすると、その主張は採用できない。
  3. よって、Xによる契約の解除ならびに違約条項は有効であり、Yは、違約金240万円および受領済みの手付金10万円の支払義務を負う(東京地裁平静29年7月18日判決 棄却 ウエストロー・ジャパン)。

【総評】

抵当権抹消可否に関しては、売主が売買契約の前に銀行に確認すべきものですが、もし抹消ができなければ売買契約の履行が不可能となることから、トラブルの未然防止という観点では、宅建事業者としては不動産売買に不慣れな個人に対して、売買契約前に銀行へ確認することをアドバイスしておくべきでしょう。

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