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実質名義貸しを行った宅地建物取引事業者とその代表者に、名義借人による原野商法被害の賠償責任を認めた事例

【ケース】

平成27年6月頃、宅建業を営む株式会社Y1の譲渡先を探していた代表取締役Y2は、M&A事業の仲介等を手掛けるCを通じて、Aと交渉を行い、最終的に「AがY1の名義を用いて、東京都内等のワンルームを売買仲介することをY1は了承する。Aは契約金20万円を支払う」とする業務提携を行いました。同年8月、Y2は、Y1の実印および印鑑証明書をAに預託し、その後も何度か印鑑証明書を渡しました。
同年12月頃、個人であるXはY1の従業員と名乗るBにより、X所有の山林の売却のためとして、Y1との間で売買契約を繰り返し締結させられ、当該山林と減菌1090万円をBにだまし取られる被害を負いました。
Xは、Y1およびY2に対して、Bに交付した減菌、弁護士費用等、計1343万円の損害賠償を求めました。

【解説】

裁判所は次の通り判示し、Y1、Y2に対して、1343万円を連帯してXに支払うよう命じました。

  1. Bは、土地を購入するつもりがないXをだまし、山林の売却に必要な書類を誤信させて各契約書に署名押印させ、Xから山林および現金1090万円を詐取した不法行為を行ったものと認められる。そして各契約書にはY1の実印が押捺され、AがY2に提携の業務を行うと説明したDの名前が、重要事項説明を行う宅地建物取引士として記載されていることから、各契約書はAにより作成されたもので、BもA側の人物であることが推認できる。
  2. Y1らは、Aと業務提携を行った旨を主張するが、そこでいう業務提携とは、AがY1の名義を用いて不動産取引を行うものであるから、その実質は単なる名義貸しというほかないものである。そしてY2は、実質が単なる名義貸しに過ぎない行為を、報酬を得る目的で行ったほか、本来であれば厳重に管理すべきY1の実印および印鑑証明書を、Aから求められるまま交付している。
  3. 以上により、Y1には、Aに対してY1の称号を使用して事業を行うことを許諾したと認められることから会社法9条に基づき、またY2には、Y1の実印や印鑑証明書の厳重保管の任務懈怠の重過失が認められることから会社法429条1項に基づき、Xが本件不法行為により被った損害の賠償責任が認められる(東京地検 平成29年3月28日判決)。

【総評】

名義貸しを行った名義人は、名義借人の債務について連帯責任を負うことになります(商法14条、会社法9条)が、そもそも宅建業法では、名義貸し行為は、免許制度を潜脱する悪質かつ違法性が重大な行為として、同法13条により禁止しており、違反については、行政処分のほか刑事罰まで設けられています。
名義貸し行為は、名義借人が宅建業免許を有していても違反(最高裁 昭和57年9月9日判決)となります。業務提携等の話があった場合、名義貸しに該当しないか十分注意が必要です。

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