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賃貸のお困りQ&A

賃貸マンションの入居者との契約に際し、他の部屋において発生した自殺事故の告知義務はないとした事例

【ケース】

平成18年12月、賃貸人Xは本件マンション(鉄筋コンクリート造4階建・全12戸)の一室である本件貸室(約80m2)を、賃借人Y1に、賃料月額9万8000円、共益費月額5000円等の条件で賃貸しました。

平成23年6月、Y1の同居人Aが、本件貸室のバルコニーで自殺する本件事故が発生しました。Y1はその後も本件建物に居住していますが、平成26年11月に退去しました。

Xは、本件事故により、本件貸室のほか、他貸室においても賃料減額・空室による損害、リフォーム費用等が発生したとして、Y1やAの相続人Y2らに対し、1696万円余の損害賠償を求めました。

【解説】

裁判所は次の通り判示し、Xの請求について61万円余を認めました。

(1)本件貸室のバルコニーにおいて生じた本件事故は、一般的に当該居室を賃借するに当たって心理的な忌避感あるいは抵抗感を抱かせるものであることから、Aは本件事故により生じた損害につき、不法行為責任を負うものであり、同人の死亡に伴い、その子であるY2は債務を相続したものと認められる。

また、信義則上、Y1の占有補助者であるAの過失は、Y1のXに対する債務不履行に当たることから、Y1はXに対して本件事故により生じた損害につき債務不履行責任を負う。

(2)Xは、本件貸室以外の新規入居者に対しても本件事故の告知義務があること、インターネットのサイトにおいて、本件マンションが自殺の発生した物件として紹介されていることなどから、本件貸室以外においても本件事故による損害が発生していると主張する。

しかし、各室の独立性が高い構造である本件マンションにおいて、本件貸室以外の居室の新規入居者に、本件事故を告知する義務があるとは解されないこと、本件貸室以外にまで本件事故による物理的損害が及んだ証拠はないこと、インターネットのサイトで本件マンションが自殺の発生した物件として紹介されていたとしても、第三者の意図的な作為によって生じた結果についてまで、本件貸室以外に関するXの損害の主張には理由がない。

(3)本件貸室に関するXの損害については、本件事故は日常の主立った居住空間ではなくバルコニーで発生したこと、Y1の退去時点で本件事故より3年余りが経過し、本件貸室に関する心理的な忌避感や抵抗感も相当程度軽減されていること等から、半年間の賃料および共益費相当額の程度で本件事故と相当な因果関係のある損害と認められる(仙台地裁 平成27年9月24日判決)。

【総評】

「自殺事故のあった貸室以外の新規入居者に対する、当該事故の告知義務」については、本件判決のほか、東京地裁 平成19年8月10日判決、東京地裁 平成26年8月5日判決などがあります。

また、インターネットのサイトにおいて、事故物件として紹介されていたとしても、当該紹介によって生じた結果が、自殺事故と相当な因果関係のある損害とはいえないとした本件判断も、実務上参考になるものと思われます。

※(一財)不動産適正取引推進機構 実際にあった判例からを参照しています。

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