Nスタイルホームは創業13周年を迎えました。
相談者
私が管理業務を担当する賃貸マンションの多数の入居者様から、夕方の6時頃から明け方までの間に騒音がするとのクレームが当社に入っています。当初、騒音はすぐにやんでしまうのでどこが発信源か、なかなか特定することができませんでした。
そこで担当の私がマンションの空室(203号室)にしばらく寝泊まりし、待機していたところ、なんとか騒音元の部屋は201号室であることを特定することができました。
私が入居者様の通報を受け駆け付けた警官とともに、まさに音が鳴っている201号室のチャイムを押したところ、音がピタッと止まり、201号室のAが出てきました。
警官とともに私が「騒音がしていましたが心当たりはないですか」と質問したところAは「自分は騒音なんて聞いていない。そういえば301号室の学生の足音がうるさい、注意しとけ」などと言ってドアを閉めてしまいました。
その後も201号室からの騒音は続いています。なんとかAを退去させることはできないでしょうか。
401号室 | 402号室 | 403号室 | 405号室 | 406号室 |
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「301がうるさい」 | 空室 | 「402号室側から音がする」 | 苦情なし | 苦情なし |
301号室 | 302号室 | 303号室 | 305号室 | 306号室 |
「下から音がする」 | 「201号室から音がする」 | 「下の階のどこかで音がする」 | 「4階のどこかで音がする」 | 「上から音がする」 |
201号室 | 202号室 | 203号室 | 205号室 | 206号室 |
A「騒音出していないと主張」 | 「201号室ではないか」 | 「上から音がする」 | 苦情なし | 苦情なし |
203号室「上から夜中ドンドンと飛び跳ねるような音がする」
303号室「音を出した覚えがない。自分ではない」
302号室「うちはうるさくしていない。202号室からドンドン音がした」
202号室「昨日は部屋にいなかった。最近入居した201号室ではないか」
201号室 A「音があったのは覚えているが、騒音元はわからない」
一旦様子見
202号室入居者退去。退去より1週間後、新入居者が入居。
401号室「301号室が夜中うるさい」
302号室「斜め下201号室の入居者が壁をドンドンと叩く音がする」
303号室「下の階のどこから早朝にすごい音がした」
今までの苦情から、どうも201号室が怪しいと感じる
※管理会社担当者が、朝と夜に数日間現地待機しましたが、音を確認できませんでした。
203号室入居者退去
305号室「たった今(真夜中)ドンドンと非常にうるさい。3階の住民が集まって相談している。おそらく4階の一室からだ」
入居者が警察も呼び出したが、音がやんでしまい発生源を確認できず
空室の203号室で管理担当者が待機していたところ、ドスンドスンと音が発生しました。怪しいと思っていた201号室から音が聞こえていたため、警察とともにチャイムを押したところ、音がピタッと止まり、201号室入居者のAが出てきました。警察とともに管理会社担当者が「騒音がしていたが心当たりはないか」と問い詰めたところ「騒音なんて聞いてない。そういえば301号室の学生の足音がうるさいな、注意しとけ」と言ってドアを閉めてしまいました。
その後、210号室の入居者Aに会って騒音のことを聞きましたが「僕は出していない。200号室がうるさかった」と完全否定。騒音はやまず、入居者からの苦情が続きました。
202号室・301号室の入居者の協力により騒音測定器を設置しましたが、設置期間に騒音データは取れませんでした。入居者に騒音があった時間を記録しFAXをもらうようにしました。
その後も、入居者からの苦情と201号室の完全否定が繰り返された
今までの入居者から苦情の記録や管理会社での対応記録を踏まえ、201号室Aに宛てて「騒音発生源として訴訟する」と警告書を送付しました。
201号室の入居者Aは「疑われるくらいなら退去する」と言って、その後退去しました。
迷惑行為は、賃貸借契約上の禁止行為に該当するため、法律上の根拠は何か、ということについてはそれほど困らないのではないかと思います。
一方、迷惑行為には騒音・悪臭・ごみ屋敷・近隣クレーム・ストーカー行為など様々な行為がありますが、こうした行為は迷惑行為として裁判所に提出する証拠にするのが難しいという困った問題があります。
特に実際に迷惑行為の被害に遭っている入居者の方に証人として協力を求めると、それが新たな入居者間トラブルにもなりかねませんし、また多くの入居者の方は協力したがらず、退去してしまいます。その結果、空室だらけの賃貸物件になってしまい、しかも迷惑行為の当事者を追い出す証拠がないという恐ろしい事態になります。
証拠もなく契約解除を求めて訴訟に打って出れば、結局、正当理由のない立ち退きを求めたことになってしまい、多額の立退き料支払わざる得なくなるという、泣くに泣けない事態に陥りかねません。
そこで、管理会社で確保できる証拠を積み重ねること、記録を作成することが重要となります。
管理会社そていは、騒音迷惑行為があれば、まず注意文の投函、掲示を行うことになると思います。これでも収まらない場合は、
ということが考えられます。先にご説明したとおり、訴訟を維持し勝訴するためには、十分な証拠が必要になります。場合によっては立退き料を払ってでも退去されるという判断をせざる得なくなる可能性があると考えられます。とはいえ、すべての案件が訴訟に至るわけではなく、事案によっては②の弁護士からの警告文によって任意に退去するという場合もあります。
騒音問題が長期化すると、物件から多数の入居者が退去してしまい、貸主に多大な損失が発生する場合があります。一方、管理会社でできることも限られており、訴訟によっても退去を実現することは困難を伴うため、どうしても騒音問題は長期化しやすい、という傾向があるように思われます。貸主に多大な損失が発生した場合には、管理会社に損害賠償請求ということもあり得ますので、こうした問題が発生した場合には、顧問弁護士等にも相談いただき、貸主にも事態を十分ご理解いただいたうえで、ご対応いただくのがよろしいのではないかと考えます。
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