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賃貸のお困りQ&A

保育園の園児らが園庭で遊ぶ音声は受忍限度を超えておらず不法行為に該当しない

【ご相談】

「近隣住民が保育園に対し防音設備の設置を請求した裁判があったそうですね。どのような判決となったのか教えてください」

昼間時間帯の騒音レベルは基本指針値を上回らない

保育園の新設により、近隣住民が園庭で遊び園児の声が受忍限度を超えたと、慰謝料100万円と境界上に騒音が50dB以下となる防音設備の設置を提訴した事例です。

平成16年7月、社会福祉法人がK市内の第一種住居地域に保育園の新設を計画しました。同年7月以降17年9月まで、園は近隣住民に保育園の事業概要、施設の設計および建築工事を説明する会合を7回開催。住民からの園庭と建物の配置の変更要請を受け入れて、当初の設計を変更するとともに、説明会と併行して住民と個別折衝を行い、(ア)北側境界に隣接の住民宅の南側と西側の窓を二重サッシに替える(園の負担)、(イ)西側境界に隣接の住民との間で、西側境界と園の施設との距離を1649mmから2000mmに変更する、(ウ)西側境界隣接の住民宅の東側窓の一部を二重サッシに替える(園の負担)等の合意が成立しました。

園の北側境界と10mの距離で敷地の南側境界が接するAは昭和42年以降当地に居住し、定年退職後は常時在宅の状態です。Aは敷地境界で環境基本法所定の当時(第一種居住地域)の環境基準である「昼間55dB以下」と、園の設計担当者から説明を受けた園庭の推定騒音レベルが大きく乖離している事実を指摘し、園に防音設備を要請。平成17年10月23日および同年11月13日、園はA宅やA地境界への防音対策もしくは、園の北側境界上に3mの防音壁設置を提案しました。Aは、閉め切った状態では生活できない、また3mの防音壁では減衰不足であると合意の拒み、訴訟を提訴(その後園は北側境界に3mの防音壁を設置)。裁判では本件騒音を測定しました。

裁判所は3mの防音壁の設置、一部住民との合意の成立およびAに対して前記提案を試みた等の事情を考慮した上、「環境基準における騒音の評価手法は時間の区分毎の前時間を通じた等価騒音レベルによって評価することを原則とする」「上記3区分の騒音レベルを昼間16時間に引き直し(園庭遊戯の155分を3時間とし、13時間をその余とすると)昼間時間帯の騒音レベルは54.2dBであり基本指針値の55dBを上回らない」「Aが騒音により心理的深井を被っていることはうかがえるものの、未だ受忍すべき限度を超えているものとは認められず、不法行為を基礎づける違法があるということはできない」とAの請求を棄却しました(神戸地裁 平成29年2月9日判決 最高裁ホームページ)

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