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重要事項説明書に高さ制限の記載漏れがあったが、説明はされていたとして買主の損害賠償請求を棄却した事例

【ケース】

平成14年に個人である売主Y1は、8階建てで、高さ23.5mの新築マンションの6階の一室を購入しました。本件マンション所在地域は2年後に16m第二種高度地区に指定され、絶対高さ制限によって本件マンションは既存不適格建築物になりました。
平成25年6月、個人である買主Xは、媒介会社Y2の媒介で本件マンションをY1から購入しました。

重要事項説明書の作成に当たり、Y2は所属協会のホームページから雛形をダウンロードし、「地区・街区等・その他の地域地区等」の欄には「第二種高度地区」と入力し、建築物の高さの制限の欄の「絶対高さ制限」は、「空欄・10m・12m・無」からの選択でしたが、空欄には「16m」と入力できなかったため、後で手書きするつもりで空欄を選択して印刷しましたが、空欄のままXに交付してしまいました。

Xは平成27年、マンションが既存不適格により、建替え時に6階以上は再築できないため契約の目的が達成できず、Y1らが高さ制限および既存不適格建物であることを説明しなかったことは不法行為・債務不履行に該当すると主張して、仲介手数料、建替え時に減少する床面積の価格相当額などの賠償を請求しました。

これに対しY2は、重要事項説明書への記載漏れは認めるが、説明の際にY2が高さ制限について口頭で説明していたから告知義務違反はなく、一級建築士であるXは、都市計画法の知識は豊富で当該事実は知っていた、などとして争いました。

【解説】

裁判所は、次の通り判示し、Xに請求を棄却しました。

  1. Y1には高さ制限および既存不適格を認識していた証拠はない。
  2. Y2が、同様の高さ制限のある他の媒介事案において、重要事項説明書の高さ制限の欄に手書きで16mと記載し、口頭で説明している等の認定事実を総合すると、Y2は高さ制限を説明したと認められる。
  3. Xは、重要事項説明書に記載がなく、口頭説明のみでは告知義務違反になると主張するが、宅建事業者が説明すべき方法およびその程度は、買主が一般消費者か、宅建事業者かなどの属性等を勘案し、買主が当該契約を締結するか否かを的確に判断し意思決定ができることを要するところ、Xは一級建築士でキャリアも長く、高さ制限および既存不適格について正確な知識と理解があり、これを購入するか否かの意思決定ができたと認めるが相当であり、Xの主張には理由がない。
  4. 重要事項説明書に高さ制限の記載がないことで、Y2が宅地建物取引業法35条違反の罰則等を受けたとしても、それが直ちに民法上の不法行為責任や債務不履行責任を構成するとは考えるのは相当ではない。

【総評】

本件は、重要事項説明書の記載漏れに係るトラブルですが、媒介会社の不注意が招いたものともいえ、口頭で説明したことの立証ができなければ、民事上の責任を負う可能性もあったと思われます。作成後の確認作業の徹底が望まれるところです。

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