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マンションにおけるペット飼育に関して売主である販売業者の説明義務違反及び不法行為責任が否定された事例

売主業者が、マンションを販売する際、ペットの飼育に関して不適切な説明を行い、同マンションでのペットの飼育が可能であると誤信させてその売買契約を締結させたとして、同マンションの買主が損害賠償または不当利得の返還を請求したが棄却された事例(東京地裁 平成16年9月22日判決 棄却 ホームページ下級裁主要判決情報)

1. 事案の概要

買主Xおよびその妻Bは、平成13年4月から9月にかけて、売主Yの従業員Cから、販売中のマンション(以下「本件マンション」という。)の説明を受けたり、モデルルームを見学したりしていた。その後Xは、9月22日に、Yとの間で本件マンション2号室を、3,970万円で購入するとの売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結した。その際、Yの取引主任者であるDは、Xから飼育中の犬を見せられた上で、本件マンションでペットを飼育できるか尋ねられ、この程度の犬であれば特段問題はないと思う旨述べた。Xは、Dから本件マンションの管理組合で制定される予定となっている管理組合規約等及び管理委託契約書の交付を受け、それらについて承認する旨の承認書及び本件売買契約書に署名捺印した。

Xは平成14年3月ころ、家族、ペットの犬とともに入居した。その後管理組合においてペット飼育が問題となったため、Bは同犬を散歩のために室外に出す際は、できる限りエレベーターに乗らない、また、隣家にペットアレルギーを持つ子供がいるため、室内にいてもできるだけ窓を開けない、バルコニーの隣家寄り部分には洗濯物を干さない等の配慮をしている。そこでXは、ペットの飼育に関して不適切な説明を行い、本件マンションでのペットの飼育が可能であると誤信させてその売買契約を締結させたとして、損害賠償または不当利得の返還を請求して提訴した。

2. 判決の要旨

裁判所は次のように判示して、Xの請求を棄却した。

  1. 管理組合規約等は、当該マンションの居住者の生活に直接影響を及ぼすものであるから、マンションの販売業者は購入者に対して、管理組合規約の内容等について説明する義務を負う。そして、ペット飼育の可否についても、マンション販売業者は、購入者に対して制定予定の管理規約等の内容を説明する義務を負うといえる。一方、管理組合規約等は、管理組合総会によって制定・改正されるものであり、販売会社であるYは、販売終了後は、本件マンションに対して何らの権利義務を持たず、管理組合規約等の内容については、これを確定的に説明することはできないから、購入予定者に対して説明し得るのは、制定予定の管理組合規約等の内容に限られるものであり、ペット飼育の可否を含む管理に関する事項に関しても、制定予定の管理組合規約等の内容を説明する義務を負うに止まり、それを超えてペット飼育の可否についての説明義務までは負わない。Cはペットを飼育するに関して、他人に危害を加えたり、迷惑をかけないこと、外に出るときは籠に入れるか、抱く必要がある旨述べたと認められ、むしろC及びDは本件マンションにおけるペット飼育に制約があることを説明したと認められる。
  2. Xは、YがXとその他の購入者に対し、相反する説明を行ったため、ペット飼育が不可能になる可能性が高くなり、また、事実上ペット飼育は困難な状況になったと主張する。他の居住者が、Yからペット飼育は原則禁止されているとの説明を受け、ペット飼育は一切禁止されていると認識して入居していたとしても、それによってただちに本件マンションにおけるペット飼育が禁止されるに至るものではなく、また、他の居住者の認識が本件マンションにおける ペット飼育の可否に直接結びつくものでもない。したがって、Yが他の購入者に対して行った説明がXに対する不法行為になると解することはできない。
  3. Xにとって、本件マンションにおけるペット飼育の可否は、本件売買契約において重要な事項であったといえる。しかしながら、Yがペット飼育の可否に関して、Xに告げたのは、制定予定の本件管理組合規約等によれば、危害を加えたり迷惑をかける行為に該当しない場合に限り、ペットが飼育可能であること、同管理組合規約等に照らせば、Xが飼育している犬の飼育は可能と思われるところ、YがXに対して告げた制定予定の管理組合規約の内容は管理組合 規約としては通常のものであり、また、Xが現に飼っているペットの飼育に関しても、その管理組合規約の解釈を述べたにすぎないこと、Xは本件マンションに入居する以前もマンションにおいて管理上一定の制限をうけつつペットを飼っていたことからすれば、YがXに利益になることを述べたとはいえず、消費者契約法4条2項による取消は認められない。

3. まとめ

分譲マンションのトラブルにおいて、ペットの問題は必ず上位に登場する。売主業者の従業員が示した制定予定の管理組合規約は極く普通のものであったが、紛争になった。本件は売主業者の説明が不法行為に当たらないとされたが、販売時の説明には注意を払いトラブルを防ぐことが望まれる。

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