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賃貸のお困りQ&A

警察官立会いの下で開錠し、警察の要請により鍵を交換した行為が自力救済には当たらないとされた事例

【ケース】

賃借人Aは、マンション一室の賃貸借契約を締結するとともに、賃料等支払い債務について家賃保証会社Yとの間で保証委託契約を締結しました。その後、不動産会社Xが本物件を取得し、Xは賃貸人の地位ならびに本件保証契約上の地位を承継するとともに、管理会社に管理を委託しました。

管理会社は、Aと連絡がとれず、賃料の支払いもなかったことから、Yに対して保証債務の履行を求め支払いを受けていましたが、Aが音信不通のまま3ヵ月経過したことから、本物件内でAが死亡している可能性を疑い、警察に相談した上で警察官立会いの下、開錠して本物件内に立ち入りました。すると、中には他人名義の診察券を所持したBがおり、玄関にさまざまなサイズの靴がある状況であったことから、鍵がコピーされて不特定多数の人物が出入りしている可能性が高いとして、警察官の指示により鍵を交換する措置を取り、Yにその経過について報告しました。

Yは、管理会社の行為が違法な自力救済に当たるとして、本物件の鍵を交換した日の前日をもって保証契約を解除し、以降の賃料を保証しない旨通知したため、その支払いを求めてXが提訴しました。

【解説】

裁判所は、次の通りに判示し、Xの請求を認容しました。

(1)Yは賃貸人が賃貸目的物を賃借人に使用・収益させることを妨害・拒否した場合、賃借人は賃貸人に対して賃料支払債務を負わないので、Yも保証債務を負わないと主張するが、本件の事実関係においてXの行為が違法な自力救済に当たるとはいえない。

(2)Yは、XがYに何ら事前の連絡をせずに違法な鍵の交換行為に及んだものであり、XY間の信頼関係は破壊されたとして、Yの解約通知により本件保証契約は終了したと主張するが、Xは鍵の交換経緯についても遅滞なく報告をしており、本件保証契約上の信頼関係が破壊されたものとはいえない。

(3)Yは、本件保証契約条項では「非常事態の発生により本物件の通常の使用が不能となった場合」に保証債務を免れると主張するが、本件では賃借人であるAが第三者に対して本物件の鍵を交付したことが原因であり、不可抗力または予見不可能な事情によるものとはいえない。

以上により、YはXに対し、本件保証契約に基づき、AがXに対して負う賃料等債務の残金についての保証債務を支払う義務を負う(東京地裁 平成26年11月27日判決)。

【総評】

賃貸人や管理会社にとって、家賃を滞納したまま行方不明となっている賃借人への対応には苦慮するところですが、賃借人に債務不履行があるとしても、承諾もなく貸室に侵入する、貸室の鍵を交換し賃借人の使用を不可能とする、退去を促す張り紙をするなどの行為は、違法な行為として、賃貸人は賃借人に対し損害賠償責任を負うことになります(大阪地裁 平成25年10月17日判決他)ので、警察官の立会いを求めその指示に従う、弁護士に対処策を相談する等の慎重な対応が必要といえます。

※(一財)不動産適正取引推進機構 実際にあった判例からを参照しています。

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