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賃貸のお困りQ&A

賃借人による共用部分の電源無断使用等の行為について

ケース

平成25年10月、賃貸人Xは賃借人Yとの間で、Xが所有するテナントビル(本件建物)の地下1階部分(本件店舗)を賃借する契約(本件契約)を締結しました。

本件契約には、Xが指定する場所以外において本件建物に看板、広告等の表示をしてはならない旨の特約がありましたが、Yは本件建物の入口周辺や路上等に電飾看板やポスター等を設置していました。

平成26年1月、XはYの看板用照明の電気が共用部分であることを把握し、Yに対して抗議しましたが、Yは集客のためには看板用照明を使用し続けなければならないと考え、共用部分の電源を引き続き使用しました。

同年8月、Xは本件契約を解除し、Yに対し、本件店舗の明渡し、看板類の撤去、損害金の支払いを請求する本件訴訟を提起しました。

解説

裁判所は、次の通り判示し、Xの請求を認容しました。

(1) 本件契約においてはXは、Yが本件店舗の周辺において各種の看板等を設置することについて、原則として(少なくとも黙示に)承諾していたと認めるのが相当であるから、直ちにこれを解除事由とすることはできない。
もっとも、路上看板については、その設置は道路交通法に違反するものであるから、仮にXがいったんその設置を承諾していたとしても、法令違反を理由にその撤去を求めることは可能であると解される。従って、Xの要請に従わずYが路上看板を設置し続けたことは、本件契約に違反する。

一方、共用部分からの電源の無断使用については、これが許されないことは当然であり、ひとたびその事実が判明したのであれば、Yは速やかにこれを解消すべき義務を負うことは明らかである。しかし、Yは、Xから共用電源の使用を止めるよう求められていたにもかかわらず、看板用照明を点灯させるため共用部分の電源の利用を継続したのであって、悪質な行為と断じざる得ない。

そしてXはYに対し、上記違反の改善の求め、平成26年8月29日には、このままでは本件契約を解除する旨通知したにもかかわらず、Yは何らの改善策を取らなかったのであるから、XとYとの間の信頼関係が破壊されていたことも明らかというべきである。

(2) 上記のとおり、本件契約は平成26年8月29日をもって解除されているから、Yは、その翌日である同月30日から、使用損害金、共益費相当損害金および看板使用損害金の支払義務を負う(東京地裁 平成28年12月2日判決)。

総評

本件では貸主の主張する解除事由のうち、共用部分の電源の無断使用のほか、路上看板の設置継続等第三者に影響を及ぼす事象が認定されています。
本件建物は、都心にある飲食店が多く入居するテナントビルであり、このようなビルでは違法看板を見かけることがありますが、道路交通法に違反する路上看板は、仮に賃貸人がいったんはその設置を承諾したとしても、法令違反を理由にその撤去を求めることができるとの判示は、ビル管理の実務上、参考になると思われます。

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