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私道に接道している土地を所有するX(原告)は、本件土地上の建物の建替えを検討していました。本件土地には、同建物に接続する既存の給排水管およびガス管が存在するものの、導管が老朽化しており、口径や材質においても引き続き使用することは難しいことから、Xは、新たな導管の引き込みのため、本件私道所有者Y(被告)に、本件私道の埋設管から導管を新たに埋設することおよびこれに付随する掘削工事をすることの承諾を求めました。
これに対し、Yは、Xが建築予定の建物は賃貸用アパート(収益物件)であることから、本件私道の掘削を受忍する義務はないとし、Xに対し、承諾料として、399万円余を請求しました。
XはYに対し、本件掘削工事の承諾を求めて控訴しました。
裁判所は、次の通り判示し、XのYに対する請求を認容しました。
①本件土地には、給排水管およびガス管の既存導管が存在するものの、既存導管は、昭和40年代に埋設されたものであり、老朽化が顕著であること、
②ガス管については、耐食性が十分でなく、使用期間の目安が20年といわれている白ガス管(鉄製)が埋設されており、耐食性・耐震性に優れたポリエチレン製管に更新する必要があること、
③給排水管については、排水管につき耐食性・耐震性の面で優位な塩化ビニル管に更新する必要があり、給水引込管につき既存導管の口径(20mm)から40mm口径のものに更新する必要があることが認められ、以上のことから、本件私道埋設管を本件土地に引き込む導管を新たに接続する工事を行う必要性があると認められる。
この場合、本件掘削工事(新設管を本件土地南側に集約して本件私道埋設管に接続することとし、限定された範囲内のみ掘削し、都度埋め戻しする)が最もYへの損害が少ない方法であると認める。
以上によれば、本件掘削工事は、本件私道埋設管に接続する新設管を埋設するために必要な範囲内で本件私道を使用するものであると認める。
従って、XはYに対し、民法220条、221条1項および下水道法11条の類推適用により、本件私道につき本件掘削工事を行うことの承諾を求めることができる(東京地裁 平成31年3月19日判決)。
道の掘削工事をめぐっては、私道所有者から承諾を得られずトラブルに発展することも珍しくありません。本判決は、民法および下水道法の条項を類推適用し、私道所有者は、隣接地の所有者から、給排水管およびガス管の埋設のための掘削工事を求められた場合には、必要な範囲で承諾する義務があると事案判断しており、実務の参考となると思われます。
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