13th AnniversaryNスタイルホームは創業13周年を迎えました。

不動産のことなら 株式会社Nスタイルホーム

メニュー

賃貸のお困りQ&A

再建築不可物件であることの重要事項説明は正しくなされていたとして、買主による契約無効や損害賠償の請求が棄却された事例

今回のケース

平成26年9月、Xは、売主事業者Y1との間で中古戸建を代金4,580万円で購入契約し、宅建事業者Y2に仲介手数料154万円を支払いました。

本物件は、昭和51年に元の土地から分筆された土地で、建物部分の土地1と、公道につながる道路部分の土地2の2筆からなる旗竿地でした。そして、この分筆の際に作成された地積測量図によれば、土地1と土地2の接合部の幅が2mと記載されていましたが、本物件の販売に際して作成された実測図では土地1と土地2の接合部の幅は1.98mとの結果になりました。

このためY2は、重要事項説明書の「敷地と道路との関係による制限」の箇所に「対象不動産は建築基準法に定める接道義務を満たしていないため、建築物の建築はできません。また、現在ある建築物については、増・改・再建築はできません」と記載し、Xに説明しました。

なお、建物は、平成3年に当時の土地所有者が建築確認(以下、平成3年建築確認)を得て新築したものでした。

しかし、その後Xは、次の通り主張し、Yらを提訴しました。

Y1に対して:再建築不可物件を本来の評価額の4.5倍の高額で売却した暴利行為による公序良俗違反に基づく無効または消費者契約法(不実告知)による取消しを原因とする売買代金返還。

Y2に対して:広告に接道義務を満たしていない旨の記載がなかったこと、重要事項説明時に「柱一本残せば建て替えられる」と誤った説明をしたことによる説明義務違反に基づく、評価額と購入額の差額3,580万円および仲介手数料相当額154万円の損害賠償。

これに対しY1は、本件物件の売買代金は近隣の戸建住宅の取引金額(7,500万円~8,400万円程度)より明らかに廉価であり、これは再建築不可の物件だからであると主張しました。

また、Y2は、本件建物の具体的な建替方法を説明したことはなく、本件建物が接道義務を満たしていない場合に建築確認を要する増改築や建替えはできないこと、建築確認を必要としない改造、改装、リフォーム等は可能であることなど、一般的知識に属する事項を話したにすぎないとして反論しました。

解説

裁判所は次のように判示して、Xの請求を棄却しました。

(1) Y2は正しい説明をしたか

Xは、Y2が重要事項説明を行う中で、「柱一本残せば建て替えられる」との説明を受けたと主張する。しかし、接道義務を満たしていないという説明をしながら、柱一本残せば建て替えられるという説明をすることは、矛盾した説明をすることになり、説明を受けるXを混乱させることになるから通常は避けるものと思われることからすると、客観的な証拠のない限りそのような説明を行ったとは認定しがたい。

(2) 暴利行為か否か

Xは、他の宅建事業者が査定した本件不動産の価格査定書において、本件土地が未接道なため再建築不可となることを指摘した上で査定価格を1000万円としていることを根拠として、本件売買契約が暴利行為であると主張する。しかし、当該査定書では、各々の要素をどのように考慮し、どの程度の減価要因としたのか不明である。

(3) 不実の告知の有無

Xは、本件建物に係る平成3年建築確認は接道義務を満たしておらず無効であるのに、平成3年建築確認がされていることを告知したことが不実告知に当たると主張する。

しかし、建築確認は行政処分であって、これが取り消されるか、あるいは重大かつ明白な瑕疵があって無効であるといえない限りは有効なものであるところ、本件建物につき特定行政庁において平成3年建築確認が適法なものではないとして違反建築物として取り扱われていると認めるに足る証拠はない。そうすると、本件売買契約につき、平成3年建築確認がされているということを前提として手続きが進められたことに問題はなく、この点について不実の告知があったとはいえない。

Xは、Y2に本件不動産を売りに出すに当たり、本件広告に本件不動産が接道義務を満たしていないことを記載していなかったことをもって説明義務違があったと主張する。しかし、本件売買契約の取引全体を通してみた場合には接道義務を満たしていないことの説明があったといえる(東京地裁 令和3年8月25日)

総評

本事例では、宅建事業者が「柱一本残せば建て替えられる」と説明したという事実はなく、正しく重要事項説明が行われたものと認定されました。

ちまたでは、接道義務を満たさず再建築不可とされている物件であっても「柱一本残せば改築扱いになるから建て替えられる」と言われることがあるようですが、そのような法規は存在せず、建築基準法第6条第1項第4号(いわゆる「4号建築物」)に係る規定を曲解した印象的な台詞が独り歩きしていると思われますので、安易な説明をしないよう注意が必要です。

なお、令和7年4月から、建築確認・検査対象の見直しや審査省略制度(いわゆる「4号特例」)の縮小が実施される予定ですので、国土交通省のホームページ等で確認してください。

お問い合わせ

Nスタイルホームへのお問い合わせは…

TEL.
086-250-4001
受付時間
9:30~16:30 水曜定休・不定休

メールでのお問い合わせ

▲トップへ戻る