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無免許者が宅建事業者の名義を借りて行った取引の利益を両者で分配する合意は公序良俗に反し無効とした事例

ケース

XはAと共に、新たに会社を設立して、Xが専任の宅地建物取引士となる会社の勤務を続けながら、その会社においてXの人脈等を活用した不動産取引事業を行う計画を立てました。
その後、Zが上記計画に加わり、平成29年1月、Zは不動産会社Yを設立して代表取締役に就任し、同年2月、Zを専任の宅地建物取引士として宅地建物取引業の免許を受けました。
同年2月頃、Xは、仲介事業者Bから紹介を受けたC所有の土地建物(本件不動産)の取引を、上記計画の事業として行うことにしましたが、Zに対する不信感から、Yの名義使用は、本件不動産の取引に限り、その後はZおよびYを上記事業に関与させないことにしようと考え、Aを通じてZと協議し、同年3月、YとXとの間で、次の合意を行いました。

  1. 本件不動産の購入および売却についてはYの名義を用いるが、Xが売却先を選定した上で売買に必要な一切の業務を行い、本件不動産の売却に伴って生じる責任もXが負う。
  2. 本件不動産の売却代金はXが取得し、その中から、本件不動産の購入代金および費用等を賄い、Yに対して名義貸し料として300万円を分配する。Yは、本件不動産の売却先から売却代金の送金を受け、そこから上記購入代金、費用等および名義貸し料を控除した残額をXに対して支払う。
  3. 本件不動産に係る取引終了後、XとYは共同して不動産取引を行わない。

本件不動産について、Xが仲介事業者Bとのやり取り、売却先の選定、契約書案および重要事項説明書案の作成等を行うことにより、同年3月Yは、売主Cより代金1億3000万円で購入する売買契約を、同年4月に、買主Dに代金1億6200万円で売却する売買契約を、それぞれ締結しました。
同年4月、Xは、本件不動産の売却代金からその購入代金、費用等および名義貸し料を控除した残額2319万円余を、売却代金の送料を受け次第、Yに支払うよう求めました。
しかし、Yは、自らの取り分が300万とされたことなどに納得していないとしてその求めに応じず、同年5月、本件合意に基づく支払いの一部として1000万円に支払いました。
その後、Xは、Yに対して本件合意に基づく支払いの残余1319万円余を求める訴訟を提起。一方Yは、Xへの1000万円の支払いは法律上の原因のないものであったとして返還等を求める反訴を行いました。
一審は、X、Yの請求いずれも棄却、控訴審(原審)は、XのYに対する1319万円余の請求を認め、他の請求は棄却したため、Yが上告しました。

解説

最高裁判所は、次のように判示し、原審判決を破棄して、本件を高裁に差し戻しました。

(1) 名義貸しは宅建業法違反

宅地建物取引業法(宅建業法)は、宅地建物取引業(宅建業)を営む者について免許制度を採用して、欠格要件に該当する者には免許を付与しないものとし、免許を受けて宅建業を営む者(宅建事業者)に対する知事等の監督処分を定めている。そして、同法は、免許を受けない無免許者が宅建業を営むことを禁じた上で(12条1項)、宅建事業者が自己の名義をもって他人に宅建業を営ませることを禁止しており(13条1項)、これらの違反について刑事罰を定めている(79条2号、3号)。同法が宅建業を営む者について上記のような免許制度を採用しているのは、その者の業務の適正な運営と宅地建物取引の公正とを確保するとともに、宅建業の健全な発達を促進し、これにより購入者等の利益の保護等を図ることを目的とするものと解される(同法1条参照)。
以上に鑑みると、無免許者が宅建業を営むために宅建事業者との間でするその名義を借りる旨の合意は、同法12条1項および13条1項の趣旨に反し、公序良俗に反するものであり、これと併せて、宅建事業者の名義を借りてされた取引による利益を分配する旨の合意がされた場合、当該合意は、名義を借りる旨の合意と一体のものとみるべきである。
従って、無免許者が宅建事を営むために宅建事業者からその名義を借り、当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意は、同法12条1項および13条1項に趣旨に反するものとして、公序良俗に反し、無効であるというべきである。

(2) 利益配分の合意も法令違反

上記事実関係等によれば、本件合意は、無免許者であるXが宅建事業者であるYからその名義を借りて本件不動産に係る取引を行い、これによる利益をXとYとで分配する旨を含むものである。そして、Xは本件合意の前後を通じて宅建業を営むことを計画していたことがうかがわれる。これらの事情によれば、本件合意は上記計画の一環としてされたものとして宅建業法12条1項および13条1項の趣旨に反するものである疑いがある。
Yは、原審において、本件合意の内容は同法に違反する旨を主張していたものであるところ、原審は、上記事情を十分考慮せず、同主張について審理判断することなく本件合意の効力を認めたものであり、この判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
以上によれは、原判決中、Y敗訴部分は破棄を免れない。そして、本件合意の効力等についてさらに審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする(最高裁三小 令和3年6月29日判決)。

総評

利益分配の合意の効力等について、更に審理を尽くさせるとして、高裁へ差し戻しされた本件事案ですが、その後XとYは、お互いに何らの請求を行わないことで和解をしています。
本件は、無免許者が宅建事業者の名義を借りて取引をした利益を両者で分配する合意は、公序良俗に反し無効である旨が示された判例ですが、そもそも宅建業法上、無免許営業・宅建業者の名義貸しは、宅地建物取引業の免許制度を潜脱する重大な違反行為として、行政処分のほか罰則規定(3年以下の懲役若しくは3百万円以下の罰金、又は併科)まで定められているものです。
宅建事業者・宅建士においては、いま一度、本件のような利益分配合意が、重大な違反行為である無免許営業や名義貸しに該当することについて、従業員の方々を含め、確認・周知をしていただくことが望ましいです。

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