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賃貸のお困りQ&A

売買契約締結に際し不実の告知などがあったとして、契約解除と手付金返還を求めた買主の請求が棄却された事例

【ケース】

買主Xは、不動産会社である売主Yとの間で、平成26年4月、新築マンション一室について、不動産売買契約を締結し、手付金を支払いました。Xは、本件不動産の購入資金として住宅ローンを申し込みました。

Xは同年10月、①Yの従業員であるAが、賃貸に出した場合、住宅借入金等特別控除(ローン控除)の適用が受けられなくなることを説明しなかった、②Aは「将来的に資産価値が上がっていく」と説明したなど、Yの本件契約締結についての勧誘は、消費者契約法の不実告知、不利益事実の不告知および断定的判断の提供があるとして、締結解除と手付金350万円等の返還を求めて本件訴訟を提起しました。

【解説】

裁判所は、次の通りに判示し、XのYに対する請求をすべて棄却しました。

  1. Xが、「賃貸に出したら、どうなるか」と質問したところ、Aの回答は、「借り手はつく」に留まり、ローン控除の適否について言及しなかったことは、不実告知および不利益事実であるとXは主張する。
    しかしAは、具体的に賃貸に出す話は特に聞いておらず、前記のような回答もしていないと証言する。また、本件契約締結に先立って、Xが記載したアンケートにおいても、購入目的に自己居住用として購入するという前提で、勧誘ないし説明を行ったことが認められる。以上からすると、Xが将来、賃貸に出すことを検討していることを、Aが明確に把握できるような発言をXがしたとまでは認め難い。そのような状況を前提にすると、消費者契約法4条1項1号の不実の告知に該当するということはできない。
  2. また、契約締結前にAからXに渡された「ローン控除の適用要件」と題された書面には、適用要件が記されており、賃貸に出した場合は適用が受けられないことは明確である。このような状況において、Aが、口頭で、賃貸に出した場合にローン控除の適用が受けられない旨を説明しなかったからといって、不実の告知および不利益事実の不告知に該当するということはできない。
  3. Xは、Aから、「再開発エリアであることから、将来的に資産価値が上がっていくような説明を受けた記憶がある」など、断定的判断の提供をされ、本件不動産を所有していれば資産として損をすることはないと誤認した旨を主張する。これに対し、Aは、「地域の地価上昇率や、大規模再開発エリアでは一般的に公示地価が上がる傾向があることを説明した」と証言する。Xの前記主張を前提としても、Xが、「損をすることはない」などと誤認したとは容易に認め難く、法4条1項2号所定の取消事由があるとは認められない(東京地裁平成28年1月22日判決)。

【総評】

不動産取引実務においては、「不告知があった」、「断定的判断の提供があった」などのトラブルは珍しくありません。本事案は棄却されていますが、消費者が求める情報の水準は高まってきており、宅建事業者の勧誘時等における発言は、不動産取引の素人である者にも誤解を生じさせないものであることが求められています。

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