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賃貸のお困りQ&A

瑕疵担保責任と仲介責任について

仲介会社Aからの相談内容

当社は売主様からリゾート地にほど近い戸建ての売却の依頼を受けました。7000万円で売りに出し、半年ほど経ったところ、買主様より内覧のお申し込みがありました。買主様は建築士の方を伴って内覧をされ、その結果、買主様からは6000万円で購入の申し込みがありました。契約前、当社から重要事項説明の案文を買主様側の仲介会社の担当者に送ったところ、買主様側の仲介会社の担当者より、「台帳記載事項証明書の記載が検査済証なしとなっているので追記するようにしてください」という指示がありました。そうしたやり取りを経て、売買契約が締結されました。なお、重説においては、検査済証がないことと、新築時の資料は設計図の写しのみであることを説明しました。
ところがその後、買主様から「検査済証等がないので増改築費用とは別に適法性検証手続きの費用が必要なのでその費用負担をしてほしい」という要請がありました。売主様および当社としては、検査済証がないことは説明しましたので、この要請はお断りしました。その後、そのことは特に議論されないまま決済が行われました。
決済後、買主様より「調査の結果確認申請時の図面よりも建物が150mm高く建築されていたことなどにより、北側斜線規制および日影による高さ制限に違反する建築基準法違反があった」として、是正費用10000万円の賠償を求めることの内容証明が、売主様と当社様側仲介会社に来ました。

瑕疵担保費用責任の条項

売主は引き渡しから3ヶ月以内に買主より通知された本物件建物の専有部分における雨漏り、シロアリのほか、給排水設備の故障の瑕疵についてのみ責任を負う。

重説の記載

本件建物の検査済証は台帳記載事項証明書によると検査済証の取得はありません。

売買物件概要

中古戸建て(築7年)売買価格:6000万円 仲介手数料:186万円

経緯

01年12月
本件建物の保存登記
07年5月
売主様が本件建物を購入し、その後別荘として使用
09年6月
売主様側仲介会社に売主様が売却を依頼しました
09年11月24日
買主様が建築士を同行して内覧をしました。このとき買主様が、具体的な内容はわかりませんでしたが、何らかのリフォームをしようとしていることがわかりました
09年12月3日
6000万円で購入申し込みが入りました
09年12月9日
売主様側仲介会社が買主様側仲介会社に契約書案と重説案を送りました
09年12月11日
買主様仲介会社から売主様仲介会社に検査済証がないことを追記するよう連絡がきました
09年12月13日
売買契約が成立
10年1月16日
買主様側仲介会社から売主様側へ適法性検査手続きの費用負担の要求が来ましたが、売主様側はこれを拒否しました
10年1月24日
決済、お引き渡し
10年3月27日
買主様側仲介会社より売主様側に本件建物に建築基準方違反があるという連絡がきました
10年5月5日
買主様代理人弁護士より売主様及び売主様側仲介会社に1000万円の損害賠償を求める内容証明が届き、その後訴訟となりました

当事者の主張

●買主様の主張
  • 売主に対し瑕疵担保責任として損害賠償を求める。
  • 瑕疵担保責任条項は物的瑕疵に関するもので法律上の違反は特約の想定を超えたものであり免責されない。
  • 売主側仲介会社に対し建築基準法違反について説明を怠ったとして損害賠償を求める。
  • 売主側仲介会社はリフォームをする話を聞いているはず。ならば「検査済証がない」という説明だけでは素人である買主は完了検査が行われていないことはわからない。
●売主様の主張
  • 建築基準法違反についての瑕疵担保責任は免責されている。
●売主様側仲介会社の主張
  • 本件の建築基準法違反について説明義務は負わない。
  • リフォームの具体的内容を聞いていない。検査済証がないことは買主側仲介会社に伝えており検査済証がないことがどういうことを意味するのかについての説明は買主側仲介会社がすべきこと。説明は尽くした。

解説

Q1 建築基準法違反は、どこまで説明義務があるんでしょうか

X 重要事項説明の法令上の制限ってありますよね。建築基準法違反の説明義務の問題は、法令上の制限とどう違うんですか。

担当弁護士 建築基準法違反の問題は、法令上の制限の問題とは分けて考える必要があります。例えば、容積率が100%というのは、土地の法令上の建物の延べ床面積の限界がこのくらいという法的な制限ですよね。建築基準法違反というのは、この建物は容積率をオーバーしているかどうかという建物の状態の問題、物質的な問題です。

X でも建物が建築基準法に違反しているかどうかなんて、正直わからないんですが。

担当弁護士 そんなに心配する必要はありません。建築基準法違反をすべて見抜かなければならないわけではありません。つまり、仲介業者は建築士や不動産鑑定士ではないので、建物の物的な状態の調査能力や鑑定能力はないですよね。だから、裁判例上は、仲介業者は通常の注意をもって取引物件の現状を目視により観察すればよいとされていて(または五感の作用により把握、調査すればよい、ともいいます)、建築士などの専門家でなければわからないような建築基準法違反に対して仲介業者に調査説明義務はありません。

●本件では

今回のご相談の事案は、建物の高さが150mm高く建築されていたということですが、家の高さが150mm図面から高いかどうかは、建物を外から注意深く見ただけで判断できません。したがって、裁判所ではこの点について不動産仲介会社に調査説明義務はないと判断され、不動産仲介会社は損害賠償責任を負わないと考えられます。

Q2 買主様の要望にどこまで対応すればいいのでしょうか

Y 売主様側仲介会社の立場だと、買主様の要望にどこまで対応すればいいのか悩みますね

担当弁護士 要望が満たされなかったという紛争は裁判例でもよくありますね。今回の事案のように建物確認を取り直さないといけないくらいの改築をyるような場合などには、検査済証がないことがわかっていれば、再度建築確認を取得するときに費用がかかる可能性があります。これは宅建業者でもわかることですからね。なお。過去の裁判例では、

① 買主側仲介会社が、買主が大規模に増改築することを知らされていたのに売主側仲介会社に格別問い合わせをしなかったことや、
② 買主が建築士を同行させていたこと、
③ 建築士が専門的に調査しなければわからないような建築基準法の違反だったこと

が重視されて売主側仲介会社は賠償を免れたという事例もあります(東京地裁平成27年6月16日判決)。

Y 売主側業者には、買主様の購入後の具体的要望は、なかなかくみ取れないという場合もあるんですよね。

担当弁護士 確かにそうですよね。特に最近は直接顔を合わせて話すということが減って、メールを送ったら、一方は伝えたつもりになっていることが多いと思います。他方は要望など伝えられたつもりはない。メールって、読み飛ばしてしまうことがあるじゃないですか。あとから、買主側の要望を伝えたのに対応してくれていなかった、と言われないように、こうしたことは十分注意したいですね。

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