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賃貸のお困りQ&A

賃貸借終了による返還時の原状回復(改正民法第621条の新設)

【ご相談】

「亡父が借地をして工場を建て機械部品を製作していました。私が跡を継ぎましたが高齢になり後継者もいないので、廃業して借地の返還を検討中です。契約書に『原状を回復して返還』とありますが、更地にするほかに何が必要なのでしょうか?」

◎借地人たる地位を実質的に承継したから、原状回復義務も承継した

賃貸借が終了すれば物件返還が必要ですが、現行民法の賃貸借は返還の直接規定を設けず、使用賃借の規定(借主は借用物を原状に復してこれに附属させた物を収去することができる)(民598条)を準用しています。ただし同条では、借主の収去権を定めたもので、原状回復義務の直接的規定ではないので、実務は判例学説で対処してきました(通常使用による損耗や経年変化を除き賃借物を受け取った後に生じた損傷があれば原状に復す。損傷が賃借人の責めに帰すことができない事由によるときは除く)。これがそっくり民法(令和2年4月1日施行)に挿入されました(第621条)。

本件は改正前の事案ですが、原状回復の具体的事例として見分しましょう。

一般財団法人Aは昭和41年4月20日、国から国有財産仕様許可を得て同年10月6日、K区の某地2162m2に工場・事務所を建設し、活版印刷工場を開設しました。昭和44年6月2日、Aは国と期間20年の国有財産有償貸付契約を締結。以後期間満了ごとに貸付契約を繰り返し、平成8年4月1日付で期間30年の契約が成立しました。

平成15年7月1日、国が公益法人の事業を見直した結果、Aは収益事業を行うことができなくなり、株式会社Bに印刷事業等を譲渡し、同時に本件建物も譲渡しました。国はC(独立行政法人 財務省管轄)に本件土地を現物出資し、Cが本件土地の所有権を取得。同年7月15日CB間で、期間同日から10年間の事業用借地契約を締結しました。

Bは印刷事業を承継後、平成24年12月末までに本件建物の取壊しを実行。翌年1月11日、K区が都の環境確保条例に基づいてBに撤去工事の一時中止と土壌汚染調査を求めた結果、汚染対策法で特定有害物質に指定の鉛、ジクロロエチレンおよびクロロエチレンが検出されました。BはCに平成25年3月までの間に本件土地を受領するように口頭の提供をしたが、Cは土壌汚染を理由に受領を拒否。逆に遅延損害金を請求。Bは債務不存在確認訴訟を提起し、Cは反訴で本件土地明渡しと損害金の支払いを求め、Aがこの訴訟に補助参加。東京地裁は、詳細な証拠を精査して汚染の排出者を鉛はA、エチレンはBと認定。「国とA間の有償貸付契約とCB間の事業用借地契約とは別個の契約である」とのABの反論に対して「BはAの賃借人たる地位を実質的に承継しておりAの原状回復義務についても承継したというべきである」と汚染物質等の撤去費用を含むCの反訴請求全部を認容しました。原状回復の基準時はAの賃借時点(昭和41年4月20日)です。

ご相談のケースは、土地の使用履歴を開示し土壌汚染調査の要否を含め原状回復についてまず賃貸人と協議することをお勧めします(東京地裁平成29年8月30日判決 判例秘書L07231862)。

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