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高齢者が自宅を売却して老後資金に充てようとするケースが増えています。しかし、売買取引の現場では、高齢者の判断力の低下等により、売主の意思確認に問題が出てきてしまうケースもあります。
高齢者の自宅売却時の意思確認について考えていきましょう。
売買(法律行為)を有効的に行う場合は、自分の行為の結果を判断できる「意思能力」が必要となります。高齢者等が売買の意思表示をした時などに意思能力を欠いていた場合には、その法律行為は「無効」とされます(民法第3条の2)。
法定後見人がいる場合には、法定後見人が本人に代わり、あるいは同意を得て、売買が無効とならないように、その意思能力を補完します。
本人の意思能力が、①常に欠けている場合は成年後見人(同法第7条)、②著しく不十分である場合は保佐人(同法第11条)、③不十分である場合は、補助人(同法第15条)、の区別により家庭裁判所に申し立てて選任されます。
選任後は本人に登記がされるので、法務局後見登録課で「登記事項証明書」を、また選任がされていない旨は「登記されていないことの証明書」で確認します。この取得は法定後見人か4親等内の親族に限られているため、該当する人に取得を依頼します。
本人から法律上有効な売却意思を慎重に確認します。自宅売却の必要性や売却に至る経緯、自宅を取得した当時の状況、居住年数、売却価格の妥当性やその使途、また必要に応じて、医師の診断書(病状や経過等)、介護施設の入所歴、入院・通院歴、家族や親族の氏名など、総合的な視点から確認します。
もし応答に矛盾や不明瞭さがあれば、医師の見解を求めながら、親族等と協議の上、法定後見人を付けることや、あるいは売却自体の見直しを進言することなどもあります。
法定後見人がいる場合の意思確認の違いについて概略します。
令和2年度厚生労働省白書によれば、65歳以上の認知症率は16.7%(約602万人)、実に6人に1人程度が認知症患者となっています。高齢者の自宅売却意思の形成は、本人よりも親族の強い意向でなされることもあり、売買取引の安全性を監視することも司法書士の重要な役割だと考えます。
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