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市民スポーツ(バドミントン)の事故で損害賠償1300万円余を認容

【ご相談】

「市民スポーツの事故で賠償額1300万円という判決があったと聞きました。実態を教えてください」

◎相手の動静を把握することはできた

事故発生までの流れを説明します。昭和50年生の女性Xは、平成25年10月から某体育館で開催のバドミントン教室に参加。事故当時は同教室の4段階レベルで2位の位に所在していました。Yも同時期に同教室に参加し、当時3位のクラスに所在。体育館の開放日(木曜日)には教室で知り合った人が同館で練習や試合を行うことがありました。

平成26年12月4日(木)9時30分頃、XYはペアを組み、ABペアと同館でバドミントンのダブルス競技を開始しました。9時40分頃、相手方Aの打ったシャトルがXYコートの左側中央よりやや前方付近に飛来したのを、後衛のYが打ち返すべく左前方に移動し、右手のバックハンドで振ったラケットのフレームが前衛のXの左眼に当たりました。Xは直ちに病院を受診し治療を受けましたが、平成27年3月4日、病院の医師から左外傷性散瞳、瞳孔径左6.0mm(右3.0mm)、左眼対光および近見反射ほとんど消失、症状固定と判断されました。

その後、民事訴訟に発展し、XはYに対し、東京地裁に不法行為による損害賠償請求訴訟を提起しました。Xは「Yは直前3mの位置にいたXの動静に注意を払わず声掛けもしなかった」とYの過失を主張し、治療関係費、休業損害、通院慰謝料、逸失利益、後遺障害12級の慰謝料、弁護士費用の他合計1534万円余と遅延損害金の支払いを求めました。

Yは過失を否認し、「スポーツ競技は予見される危険性を受忍した上で行うものであり、競技中の加害行為は、ルールに著しく違反することなく通常予測され許容された動作に起因するものであるときは違法性が阻却される」と抗弁しました。

東京地裁は、「Yは、Xが打つことはないと軽信し声掛けをせずXの動きを確認せず打ち返した過失がある」と判示し、「競技者が危険をすべて引き受けて参加したといえないことは明らかである」と違法性阻却の抗弁を退けましたが、「Xも危険を一定程度引き受けた上で競技に参加している。Yに故意はないことを鑑みると、損害の全部を負担させることは公平な分担を図る損害賠償法の理念に反する。一切の事情を考慮しYには損害の6割を負担させるのが相当である」と789万円余と遅延損害金の限度で支払いを命じました(東京地裁 平成30年2月9日判決)。

Y控訴X附帯控訴で東京高裁は、「Aが打ち込んだ時点では、YはXの3m後方に位置し、Xの動静を把握できたからYは結果を予見し回避する可能性があった」、「Xには過失が認められずXに生じた損害の一部を同人に負担させるべき事情もない」として一審判決を変更し、1318万円余と遅延損害金の支払いを認容しました(東京高裁 平成30年9月12日判決 判例秘書L07320333、判例時報2402号)。

「こども六法」がベストセラーとなっています。身近な法律問題に市民の関心が高まっています。

まちの法律家として宅建事業者、中でも宅建取引士さんの見識が問われます。地道に判例を学習して、法律的センスを養いましょう。

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